特級は身の丈にあわない【五条悟】

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『伏黒、伊地知さん！ごめんなさい！』



｢遅い｣



同級生から返ってきたのはその一言だけ。五分ほどの遅刻をした。反転術式を使うと言えど、私も実地で任務に出たりする。



『ごめん、寝坊しちゃって』



車に乗り込みながらそう言い訳をする。人生で初めて彼氏ができて、しかもそれが現代最強の術師と呼ばれる五条悟で、しかも担任の先生だなんて寝られるはずがない。



｢疲れてんのか？あんま無理すんなよ｣



まあ、そんなこと野薔薇ちゃんならともかく、伏黒に言えるはずもなく。



『まあ、そんなとこ』



適当に返事をして、席に座り直した。今日の任務の概要を聞かされて、それから瞼を閉じた。車の振動が心地よく伝わる。



｢……い、おい、A。着いた｣



いつの間にか、寝てしまっていたみたいだ。昨日の寝不足がだいぶ効いているらしい。車から出ると、そこに広がっていたのは商店街の跡地。そこに発生している低級呪霊の討伐が今日の任務だった。比較的軽めのものだから、私に回ってきたんだろう。



私は主に呪具を使って戦う。戦闘に向く術式を持たない私は、入学の少し前、五条先生と出会った頃から使っている刀がないと戦えない。



｢恵、A、おつかれ｣



高専に戻ると、担任――今となっては恋人でもあるのだが――が門の前で待ち構えていた。

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