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五条side
Aが記憶を失った。いや、正確にはすべての記憶じゃない。どうして、僕だけAの記憶から抜け落ちてしまったのだろうか。
「五条、大丈夫?」
病院の廊下にあるベンチに座っていると、隣に硝子が腰をおろした。
「大丈夫なわけないだろ……すげー焦ってるよ」
はあ、と今までにないほど大きなため息を吐いた。
「Aを襲った呪詛師の呪いらしいよ。五条だけの記憶がないの」
「……そいつ、どこにいる?」
正直、正面から殴ってやりたかった。怒りに任せて拳を振るってしまう気もしていた。でも、僕の―――いや今はもう僕のではないのかもしれないけれど―――Aを傷つけたことが許せなかった。
「言わないよ。これ以上同級生が犯罪者になるのはごめんだからね」
そう言うと硝子はスマホを取り出して片手で軽く操作した。
「伊地知から。呪詛師の呪いがわかったって」
問い詰めたら吐いた、とのこと。解呪する条件は本人も知らないらしい。Aにかかった呪い、それは、
一番大切な人の記憶だけを失う。
そういうものだった。
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かうみ(プロフ) - もちもちアイスクリームさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!ぜひこれからも読んでください! (4月20日 22時) (レス) id: 8c2286f190 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちアイスクリーム(プロフ) - 面白かったです!!更新頑張って下さい!! (4月20日 7時) (レス) @page33 id: aa5605d5a8 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 香楽さん» コメントありがとうございます!更新滞ってしまいすみません…これからも頑張るのでぜひ読んでください! (4月15日 19時) (レス) id: 8c2286f190 (このIDを非表示/違反報告)
香楽(プロフ) - 今後どうなるのか気になります!更新頑張ってください! (4月14日 10時) (レス) id: 8c47cbd327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2024年2月18日 20時