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翌日。余計にとっておいた日程が功を奏して、僕とAは犠牲になった少年の両親に会いに行くことにした。本当は、あまりこういうことはしない方がいいのだけれど、Aの意思だ。仕方がない。
悠仁と恵、野薔薇は伊地知に任せて先に東京に帰した。Aはきっと、三人に弱っているところを見せたくないだろうから。
「ほんとうに、一人で大丈夫?僕も行こうか?」
Aは力強く首を横に振った。その胸元には僕があげたネックレス。一度、Aを抱き締めたあと、少年の家の方向に向かって背中を押した。
―――――――――
結局、Aの勇気はむなしく、かなり怒鳴られたし、目の前で泣かれたらしい。
『先生、もしかして私があの子の代わりになった方がよかったのかな?』
そんなはずはない。命の重さはみんな一緒?正論だ、そんなことわかってる。だけど今は、嫌いなそれさえもAの支えになれば、と思ってしまう。
『私に悲しんでくれる家族はいないけど、あの子にはいたんだよ。命の重さはみんな一緒っていうけど、本当は違うんじゃないかって、思っちゃって』
「そんなことない。Aがいなくなったら僕だって、一年のみんなだって悲しむ」
だから、お前はまだここで頑張れるよ。あの少年の分まで生きないと、あの子が浮かばれないよ。そんな表面的な言葉を掛けても、Aには響かないのだろうか。それなら。
「僕はAが好きだから。いなくならないでよ」
そう言ってすすり泣くAを腕の中に閉じ込めた。
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かうみ(プロフ) - もちもちアイスクリームさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!ぜひこれからも読んでください! (4月20日 22時) (レス) id: 8c2286f190 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちアイスクリーム(プロフ) - 面白かったです!!更新頑張って下さい!! (4月20日 7時) (レス) @page33 id: aa5605d5a8 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 香楽さん» コメントありがとうございます!更新滞ってしまいすみません…これからも頑張るのでぜひ読んでください! (4月15日 19時) (レス) id: 8c2286f190 (このIDを非表示/違反報告)
香楽(プロフ) - 今後どうなるのか気になります!更新頑張ってください! (4月14日 10時) (レス) id: 8c47cbd327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2024年2月18日 20時