特級は身の丈にあわない【五条悟】

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五条side



遠征一日目の任務も誰も負傷者なく無事に終わり、自室で生徒たちが報告書を提出しに来るのを待っている。



この調子だと、余裕を持たせることができるようにという名目でつけておいた最終日はAと一緒に過ごすことができそうだ。他の三人を巻く方法は考えないといけないのだけれど。



｢失礼します｣



数回のノックと丁寧な言葉遣い。恵だな。



｢ん、お疲れ様｣



報告書を受け取ってパラパラと目を通す。恵の字はきれいで読みやすい。



｢おっけー。戻っていーよ｣



そう言ったはいいものの、恵に戻る気配は一切ない。きっと、何かいいたいことがあるのだろう。



｢どうした？｣



｢Aのこと、からかってるならやめてください。あいつ、本気であんたのこと好きですよ｣



初めに気づくなら恵かな、と思ってはいたけれど、こんなに早いとは想定外だ。



｢いや、僕だって本気だよ。何熱くなってんの。恵もAのこと好きなの？｣



｢俺がAをどう思おうが関係ないでしょ、あんたには。Aは俺の大事な幼馴染みなんで｣



ああ、そうか。だからやけに仲がよくて、心の壁を作りがちなAも気を許していたのか。幼馴染み、って言うのはきっと恵なりの言い訳だろう。



｢そうやって言い訳してると、Aに愛想つかされるよ｣



僕の言葉は閉じられた扉に遮られて恵には届かなかった。

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