予想外 ページ28
冬を越して、桜の木から花が散り始めていた。
サークルでお花見をしたり、春休みだったのも相まってお酒を飲む機会が多かった春は終わりを告げようとしている。
甚爾さんがお店に来る頻度はほぼ変わらず、シフトのたびに来てくれていた。お酒に強くなった私と飲むのを楽しみにしてくれているのがキャスト冥利につきる。
最初に飲んだ梅酒の水割りを、水の割合を減らして飲んでいる。
「あ、俺暫く仕事で来れねぇから」
長い間、二週間ほどの長期出張?だかなんだかで店にも家にも来れないらしい。
『わかりました。気をつけて、頑張ってきてくださいね』
店では一応、そう言って送り出した。その後彼は私の家に来て、少しだけ飲み直した。
『このまま、今夜が続けばいいんですけど』
そしたら私は甚爾さんと二週間、離れなくてすむ。たった二週間、と思われるかもしれないけれど、嫌な予感がしていた。
「まあ、すぐ帰ってくる。心配すんな、A」
そう言って重ねられた唇。これが最後になるだなんて、嫌な予感が的中してしまうなんて、思ってもみなかった。
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時間飛ばしまくりでごめんなさい。あと二話くらいで終わりです。
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作者名:かうみ | 作成日時:2024年1月13日 18時