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カクテル ページ17
甚爾side
手は出さない、そのつもりだった。だけど、初めて見る、酒をおいしそうに飲むAの顔がきれいで、思わず唇を重ねてしまった。そもそも、こんなに健全な付き合いが長く続くだなんて思ってもいなかった。
あの祭りから数日。Aの出勤日にあわせて店に足を運んだ。
「ああ、浴衣。似合ってたよ」
あの日、言い忘れた一言。本当は会ってすぐに言うべきだったんだろうけど。案の定、少し焦ったように口に人差し指を当てるA。目の前に置いてあるグラスを倒すんじゃないかと心配になる。
『いや、ちょ、それは……ありがとうございます』
焦っていたかと思えば、頬を赤らめて礼を言う。あの日から少しずつ、Aは酒に慣れ始めた。飲み方は相変わらずあんまり上手くないけど。少しずつ飲む、これが身に付いていない。度数は低めの、オレンジの色をしたカクテル。
『というか、甚爾さん、住む家ないってほんとですか?』
「は?」
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作者名:かうみ | 作成日時:2024年1月13日 18時