検索窓
今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:10,087 hit

度数3% ページ16

花火の音が鳴り響き始めた。石階段の上に2人でならんで座る。肩と肩が触れそうな距離に、心臓が高鳴っているのを感じる。


「足、靴擦れしてんだろ」



私の足を取ってさっきのビニールに入っていた絆創膏の箱を取り出した。壊れ物を扱うように私にさわるその手付きに、やっぱり特別なんじゃないかなんて、くだらない期待をしてしまう。所詮、私は少し気に入られた店員でしかないのに。



『あの、自分でできます』



そんな声も無視して、彼の手は動き続ける。お酒を飲んだときと同じように、触れられた部分が熱い。



それをし終えた彼は再び私のとなりに腰をおろした。ビニールの中に入っていた缶チューハイを取り出して開けた。花火と花火の合間に、缶の開く音が響いた。



「飲む?」



かわいらしい絵が描かれた、度数3%の缶が差し出された。恐る恐る口に運ぶと、果物の味が口いっぱいに広がった。



『ん、おいしい』



隣を見ると、満足そうな顔をした甚爾さんがいた。ひとくち、ふたくちと缶を口元に運ぶ。缶の中身が軽くなっていく。あ、お金。払わなくちゃ。



『甚爾さん、お金……』



カラン。残りの少なかったお酒の缶が私の手を滑り落ち、階段を転がって、中身がこぼれた。



気づけば、私と甚爾さんの影は重なっていた。

カクテル→←期待しちゃうから



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 伏黒甚爾 , 禪院甚爾   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かうみ | 作成日時:2024年1月13日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。