お酒の飲み方【禪院甚爾】 (ページ12)

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梅雨明けページ12

天気予報で東京の梅雨明けが発表され、本格的な夏がやって来た。数日前まで町をおおっていた雨の匂いが過ぎ去って、夏の到来を感じさせていた。

町にはお祭りの予定を知らせるポスターも貼り出されている。お祭り、なんて久しく行ってないな。最後に行ったのは確か、小学生の時。

射的とか、ヨーヨー釣りとか、懐かしいな。焼きそばも食べたっけ。甚爾さん、行かないかな。

あれ。なんでここで、甚爾さんが出てくるんだろう。まあ、いっか。というか、今日は来ないのかな。私、出勤日だって知ってるはずなんだけど。

｢……ちゃん！Aちゃん！聞いてる？｣

『うん、聞いてますよ。』

ほんとは聞いてなかった。なんて、言えるはずもない。相手が彼だったなら、言えたのかもしれないけれど。あんな雨のなか転がってるのを見たからかわからないけれど、甚爾さんの前ではいつもこの店にいるときとは違って、自然体でいられた。

冷房が効いたこの店内は涼しいを通り越して寒いくらいだった。梅雨明けが発表されたからといって急に夏に切り替えすぎなんだよ。

休憩と称して外に出ると、夏の夜特有の生ぬるい空気が肌に纏わりついた。