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「じゃあなA。また来る」
そう言い残して彼は夜明けと共に去っていった。お店に渡されたお金の山は私がここで1年間働いて稼いだお金よりもはるかに多い額だった。片付けやら報告やらをしていると、あっという間に夜になって花街に騒がしさが戻ってきた。
また来る、と言っていたけれどいつ来るのだろうか。他のどのお客さんと過ごす時間よりも心地よかった。多額のお金がもらえるから、とかそんなことじゃない。一歩間違えれば命を落としてしまう、このギリギリに立たされている感じが至極心地よかった。
「A、大丈夫だった?」
お店の代表、顔とも言える花魁に声をかけられる。相変わらず綺麗な顔立ちをしている。私とは格が違う。店の頭がこの人を宿儺の客にしたがらなかったのも頷ける。稼ぎ頭の花魁が殺されたら、たまったものじゃない。
『ええ、大丈夫です。』
他の店の花魁は意地が悪い人もいるらしいが、この人は善人だ。今まで出会った中で、かなり上の方の。
「A、お客さん」
昔からよく私に会いに来てくれている人。正直、この時間は退屈でしかない。昨日と比べてしまえば、比べ物にならないくらい時間が遅く進む。ああ、早く。早くまた、来てくれないかな。
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飴(プロフ) - 頑張ってください (12月25日 23時) (レス) id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 飴さん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけたら嬉しいです! (12月25日 23時) (レス) id: d9b84374c8 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - 続きが、気になる! (12月25日 13時) (レス) @page11 id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2023年12月15日 21時