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「よく待ったな、A」
1000年前、彼が―――宿儺様がかけた呪い。あれのお陰でというか、せいでというか、命を絶つことを許されなかった。
「A、貴様はもう俺以外には愛されない」
1000年後の事だ、器が現れたと聞いたのは。虎杖悠仁と呼ばれた少年は、1度接触した感じでは普通の少年だった。普通の、というか呪術界には見合わないほどに純粋な目をしていた。
『ほんとうに、遅いです』
少し待っていろ、そう言って私の頭に軽く触れたあと、近くにいた特級と女子高生と話を始めた。いつだか、初めて彼の戦いを見たときと同じように、漏瑚との戦いはとても綺麗で、美しかった。
「月が綺麗だな」
破壊されたビル郡。消えた灯り。それと引き換えに降り注ぐのは月明かりと星の瞬き。その言葉の真意は、きっと――。
『私にとって月は1000年前から綺麗でしたよ。それに、』
一息おいて、彼の顔を見上げる。1000年ぶりに見るその顔はやはり美しかった。何も言わずに、そのまま彼の顔が近づいて、唇が重なる。何度も、互いの存在を確かめ合うように繰り返されたそれは、この渋谷の情景とは釣り合わないほど愛に溢れていた。
『死んでもいいわ』
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飴(プロフ) - 頑張ってください (12月25日 23時) (レス) id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 飴さん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけたら嬉しいです! (12月25日 23時) (レス) id: d9b84374c8 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - 続きが、気になる! (12月25日 13時) (レス) @page11 id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2023年12月15日 21時