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私に明日は来なかった。
時間になっても彼は来なくて、代わりに彼と一緒にいた裏梅という少年だか少女だかが来て、一言こう告げた。
「宿儺様が封印されました」
封印、という現実離れした言葉に理解が追い付かなかった。でもそれは、裏梅も同じだったらしい。前会ったときには全く表情を崩していなかったにも関わらず、動揺したような顔を見せていた。
突然、猛烈に叫びだしそうになって、制止する裏梅を振り切って走り出した。
「A様!?」
胸の真ん中にあった大事なものが欠落して、今胸の中にある感情を全て清算するにはこれからあと何百年かかるんじゃないかという気分になる。これがどんな感情だったのかと言われると、今でも説明がつかない。こんな夜でも、見上げた空には星が美しく輝いていて許せない気分だった。
『会いたい……宿儺様、会いたいよ……』
名前を呼べば返事が返ってくるような気がして、何度も何度も彼の名前を呼んだ。
「A様」
追い付いてきた裏梅が私に手渡したのは彼の指だというもの。今はお札がきつく貼られているが、千年ほど経てば剥がれて、もしかしたら呪肉出来る人が現れるかもしれない。とのことだった。
その彼だったものに私は口づけをした。
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飴(プロフ) - 頑張ってください (12月25日 23時) (レス) id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 飴さん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけたら嬉しいです! (12月25日 23時) (レス) id: d9b84374c8 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - 続きが、気になる! (12月25日 13時) (レス) @page11 id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2023年12月15日 21時