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私が宿儺様に出会ってから早くも1年が経過した。これまでの人生で、今年以上に濃かった1年はあっただろうか。
『今日で1年が経つんですよ』
この関係がこんなに長く続くだなんて思った人は誰1人としていなかった。私を含めて。
「そうか」
他のお客さんなら、もう1年経つのか、とか喜んでくれたりするものなんだけどな。あんまりそういうのには興味がないみたいだ。
出来ることならばなるべく早くこの人生に幕を下ろしたい。宿儺様がいなくならないうちに。気が変わらないうちに。
「明日、お前を殺してやろう」
待ちわびていた、私にとって最上級の愛の言葉。歪んでいると思われたって構わない。
「なんだ、そんなに嬉しいか」
気づけば涙が頬を伝っていた。100年間待ち望んでいたこの時。母の呪縛が、もう解けるのか。
『はい。ありがとうございます』
きっと、今までになくいい笑顔をしていたことだろう。夢が、ようやく叶うんだ。やっと母に追い付ける。
『それでは、また明日』
「ああ。またな」
そう言って、宿儺様は私に口づけをした。風の噂で聞いていた、嫌いだというその行為をされたことに驚いた。
「嫌だったか」
『いえ、嫌いと聞いていたので』
なんとなく目をそらしてうつむくと、顔に熱を感じる。視線を合わせるようにしゃがみこんだ彼と唇がまた重なる。明日も会う、その約束をしたはずなのに別れたくない、と心が言っていた。
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飴(プロフ) - 頑張ってください (12月25日 23時) (レス) id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 飴さん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけたら嬉しいです! (12月25日 23時) (レス) id: d9b84374c8 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - 続きが、気になる! (12月25日 13時) (レス) @page11 id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2023年12月15日 21時