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『宿儺様は私より先に死なないでくださいね』
ある日、急に口走ってしまった呪いの王、“最強”に対する冒涜。案の定、宿儺様は驚いたようなあきれたような顔をして私を見つめている。
「Aは俺に死というものを見ているのか」
『いえ、そういうわけでは……』
瞬間、頭に手が回されて彼の胸まで引き寄せられる。ふげ、なんて色気のいの字もない声が出てしまい、笑う声が頭に降る。
「安心しろ、俺が死ぬよりも先にお前を殺してやる」
それはきっと、私を愛してくれる、ということなんだろうか。それとも、そのままの意味か。とはいえあの日、解呪を約束してもらった日から彼は、私に“好き”だとか“愛してる”だとかの愛されるこを代表する言葉をかけてもらったことがない。もしかして、彼が愛しているのは私の首から下だけなんじゃないか、なんて不安になったりする。
そもそも、あの日、私が死ななかったのも宿儺様の気まぐれに過ぎない。私を選んでくれたんだって信じていないけれど、期待していないと言ったらそれは嘘になる。きっと、私はあの日この花街の地縛霊になるはずだったんだろう。
『いい夢を魅せてくれて、ありがとうございます』
そうだ、きっとこれは夢なんだ。たまに、私は自分にそう言い聞かせる。
泣きそうだと思われたのか、宿儺様はもう記憶が薄れてしまった母親のように、背中と頭を優しく撫でてくれた。
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飴(プロフ) - 頑張ってください (12月25日 23時) (レス) id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
かうみ(プロフ) - 飴さん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけたら嬉しいです! (12月25日 23時) (レス) id: d9b84374c8 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - 続きが、気になる! (12月25日 13時) (レス) @page11 id: 5dbd17dea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かうみ | 作成日時:2023年12月15日 21時