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_カンカンカンカンカンカン
…階段の下だろうか。
ナニカを叩く音が朝の静かな遊郭に響いた
「…なにこれ」『しらんわ…』
布団から頭だけだして、二人は喋っていた
いつも起きる時間ではないので、二人は眠そうだ
廊下には、人の気配を感じないから他の遊者も、まだ起きていないのだろう
暫くの間鳴っていた音が止む
その隙を狙って二度寝を試みる、…がしかし
__とん__とん__とん
ゆーっくり、誰かが階段を上っている音がした
「だれかくるよ、ねぇ、A、ちょっと、おきてよ」
舌っ足らずにAに訴えかける鉄朗
だんだん、意識も覚醒してきたようで
はっきりとした言葉で訴えてくる
『ぁんだよ、まだねせてくれ』
「寝てる場合じゃねえって」
「階段から一番近いの俺達だろ!?」
『…あ?』
意識がはっきりしてきて、目も完璧に開いた
『…俺達、今 危機的状況にあるよな…?』
「おう、そうだな」
『どうするよ』
そんなこと言ってる間にも
__トン__トン
だんだんと近くなってくるその足音
足音が大きくなる度に、俺達の距離も縮まっていった
二人が密着した頃には、足音はもうすぐ近くの所まできていた
『あぁ、もうだめだ…最後に草凪と朝日奈と出かけたかった』
「何言ってんだよ、なんかも__
鉄郎が言いかけたその時、とん、と障子の前にナニカが立ち止まった
『「…え?」』
そのナニカは障子に手をかけた
鉄朗とAの歯の震えが止まらない
肩をびくびく、と震わせて抱き合っている
あぁ、神様、信じているわけではないけれど
お願いします!この状況をどうにかして下さい!
助けて…!
(助けてくれたとしてもきっと信じないと思う。
どっちかって言うと奇跡を信じるかなぁ)
サッ、と障子が物凄い速さで開かれる
『「っんぎゃあああああああああああああああああ!!!」』
「朝から喧しいわ、」
そこにいたのは_________
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作者名:日紫喜 | 作成日時:2018年8月30日 14時