友人 ページ8
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「それより、君は?」
あんなに綺麗だったのに…と、勿体なく思う俺とは反対に、Aは鬱陶しい物が消えて清々しいのか、普段より明るい声色で小芭内に話しかける。
「…小芭内」
小芭内は俺の後ろに隠れながらそっと話すと、Aは小芭内かぁと嬉しそうに復唱する。
しかし、そんな穏やかな空間もつかの間。
Aが小芭内の肩を見て悲鳴を上げた。
「へ、蛇が!!」
そう大きな声を出すAに、小芭内も驚いたように肩を跳ね上げ、小芭内の連れていた白蛇も床にニョロニョロと逃げ出してしまう。
そんなAを見て怖がっているとでも思ったのか、慌ててその蛇を隠そうとする小芭内を、俺は溜息を着きながら静止する。
「…?」
驚きと焦りからか、震える手に汗が滲む小芭内に、俺は安心しろという意味を込めて笑いかける。
あの鬼でさえも可哀想だと慈悲をかけるAが、蛇を怖いというはずがない。
そんな俺の予想は当たり、Aは嬉しそうに目を輝かせて蛇を追いかけた。
「素敵!白蛇なんて初めて見た!!」
とても縁起が良さそうだと、おいでおいでとその蛇を呼ぶ。
「おいで、さつまあげ〜」
「おかしな名前をつけるな」
◇
「え!!2つも上なの!?」
数刻経つと、俺よりも小芭内と親しくなったAは、楽しそうに会話を弾ませている。
「しかも男の子なんだ!」
「…ん、男?」
Aの言葉に驚いて、そう口に出せば、2人の目線が俺にむく。
「…え、まさか杏寿郎も知らなかったの?」
そう面白がるように笑うAは、先程捕まえた鏑丸という名の蛇をずっと撫でており、俺はそんなAを横目で見ながら、正直に小芭内に謝る。
「でも、色白だし華奢だし」
本当に女の子みたいだと、Aは無遠慮に小芭内の顔を包み込むと、2人は目を合わせている。
「それに、小芭内の目って凄い綺麗」
先日知らないおじさんから貰った宝石と、比べ物にならないなんて、冗談めかして言うAに、俺は焦って勢いよく口を塞ぐ。
「…」
Aの言っている事は本心だろうが、珍しい小芭内の目は、恐らく奇妙に思われることの方が多い。俺はダラダラと冷汗をかきながら、俯く小芭内の様子を伺う。
「…ありがとう」
しかし、俺の心配など杞憂だったようで、小芭内は照れくさそうに顔を上げた。
◇
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時