出逢い ページ4
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「杏寿郎、お友達を連れてくる時は先に言いなさいと言ったでしょう」
「はっ母上!申し訳ありません!」
いつも通りピタリとも表情の崩れない母上は、お茶と菓子を机に置きながら、きちんとしたもてなしが出来ないことに、不服そうな顔をしている。
「いえ、私が急に言い出したのですよ」
いつの間にか姿勢よく座り、にこりと可愛らしい笑みを浮かべるAは、こちらこそ礼儀がなっておらず申し訳ありませんと、母上に礼儀正しく挨拶している。
「あなた、一宮のお嬢さんよね
小さい頃に1度だけあったことあるのだけれど
覚えているかしら?」
「…?」
大きくなったわねと嬉しいそうに話す母上に、Aは暫く不思議そうに首を傾げた後、いきなり驚いたような顔で俺を凝視している。
「ま、まさか」
あなたの苗字って煉獄…?と、音にはならずに形のいい唇がそう動く。
その後は母上と楽しそうに話をするAは、話が終わって母上が部屋から出ていった後、とても面白がるように笑い声を上げた。
「ねぇ杏寿郎、私たち結婚しましょ!」
「…は?」
俺は、君に驚かされてばかりだった。
◇
いきなりなぜそのような話になるのかと、未だ楽しそうに笑みを浮かべるAに聞けば、嬉しそうに口を開く。
「私は家の都合上、
齢8にして結婚相手を決めなければならないの」
「それは先程聞いたが…」
困惑する俺を見て、更に口角を上げるAは、自分の家、つまり一宮家と煉獄家の関係について説明し出す。
代々鬼狩りをしている煉獄家と、同じく昔から鬼殺隊を政府側から支える一宮家。
俺が鬼殺隊に入りたいというのは、別に強制されている訳ではなく自らの意思であるが、一宮家では、男が生まれれば高級官僚として務め、女が生まれれば、一宮家の優秀な血筋を途絶えさせないため、8歳で結婚相手が決められるらしい。
「だからね、
結婚相手が煉獄家の長男であるあなたなら
お母様も何も言えないだろうし」
どうせ、あなたも政略結婚で知らない人と結婚するくらいなら、私の方が絶対いいよ!と何故か自信ありげに話す。
「…君はもう少し慎ましくなった方がいいと思うぞ」
「え、
もしかして杏寿郎は私の事美人だと思わないの?」
ありえないとでも言うように、大きな目をさらに見開くAは、俺の肩を鷲掴みにした。
◇
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時