検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:127,118 hit

逢瀬 ページ21







思わぬ出来事のせいで、時間もなくなってしまったため、俺たちは最後に、前からAが行きたいと言っていた化粧品の揃う店へ向かった。









「杏寿…煉獄様、これどう思いますか?」


「うむ!!良いと思うぞ!!」







「杏…煉獄様もつけてみては?」


「香水か!君の好きな藤の香りだな」






「ねぇ杏寿、煉獄様」


「…君、これで何回目だ」




毎度毎度言い直すAに、呼びにくいならわざわざ治す必要も無いだろうと呆れ気味に言うと、Aは少し頬を染めて首を横に振る。









「まだ慣れていないだけです

それに、交際もしていない男性を名前で呼んだりしたら、お母様に怒られてしまいます」


「…!今、交際している相手がいるのか?」



先程とは違う胸の痛みに顔を顰める俺は、もしAに交際相手がいるのなら、その男とどちらが強いか手合わせしに行こうと考える。






俺より弱いやつではダメだ。









「…おりませんよ、交際をしている方は」


「む。」



は…ということは、まさか好いている男はいるという意味かと、Aの言い方に引っかかっていると、Aはまっすぐ俺を見つめるてくる。



そんな綺麗な瞳じっと見返していると、Aは諦めたように笑いを零して、また商品を選び出した。



















「今どきの女子はどんなものを贈ったら

喜ぶのだろうか?」


「…あら、

贈り物をしたい女性の方がいらっしゃるのですか?」




もちろんAに買うつもりで聞くと、ピタリと笑ったまま動かなくなったAが、静かな声で返事する。







「うむ!とても大事な人でな!

ここにあるものならなんでも似合いそうだ」


「…そう。」



どうせなら驚かせてやろうと、名前を伏せて伝えれば、Aは小さく呟いて、俺の手にいくつかの商品を載せる。








「私たちと同年代であるなら、

棒口紅といった流行り物の類は皆喜びますよ」



もし、そのお相手が想い人であるなら…と付け加えたAは、キュッと唇を結んで、真っ赤な色の紅を見せてくる。









「うむ。この色は特に君に似合いそうだ」



そう言って、俺がふにっと桃色の唇に触れれば、Aは目を見開き、俺から一気に距離をとる。






「いっ今、触っ」


完全に無意識だった俺は、真っ赤な顔で慌てるAを見て、とんでもないことをしてしまったと気がつく。









逢瀬→←逢瀬



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (182 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
707人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。