発見 ページ39
◇◇
「うぁー」
ある日、ご近所に届け物をして帰る途中。
私はいつも通り桜の木がある道を通ると、その根元には1歳にも満たない程の赤ん坊がいた。
「…」
私は布一枚にくるまれた赤ん坊の腰をそっと持ち上げ、入っているその籠をくまなく確認するが、手紙などの類は何一つ入っていない。
最近では法律も厳しなって、子を捨てる親など居ないと思っていたが、所詮箱入りの娘の戯言のようだ。
「…可哀想に。置いていかれてしまったのね」
「うー」
目の前で黒い瞳をパチパチとさせるその赤ん坊は、捨てられてしまったというのに、楽しそうに蝶や鳥を目で追いかけ、必死に手足を動かしている。
「ふふっ」
小さな子供が大好きな私は、私の身体の問題上、残念ながら子どもを産むことは一生できない。
そんな悲しい事実と、この場所に捨てられていたということが相まって、不謹慎ながら運命を感じていると、その赤ん坊は私に向かって、にっぱりと可愛らしい笑みを向けた。
◇◇
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時