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「母様が言っていたこと。

心の整理がついたら、自分でもよく考えろよ」


「…はい」



宝探しが終われば、私が死のうとしていることを知っている癖に、お兄様は知らないフリをして真っ直ぐ私を見つめて話す。





しかし、私も母の本心を聞いてから、少し自分の考えについて悩んでしまっていた。




これ以上、心配をかけたくないという母への感情が、杏寿郎への想いとぶつかり合う。



そんな終わりそうにない思考を止め、私は2人に笑いかけてそっと部屋に戻った。


















部屋に入ると、机に手紙が置いてあるのが見える。








「…ふふっ、まさかお兄様達が寝返るなんて

あなたも思わなかったでしょう?」



私に見つけられないよう、せっかく3人で必死に隠したと言うのに、自分たちから出してしまうなんて。




そんな私の笑い声が部屋に響くと、静けさが際立つ。









「杏寿郎の言っていた通りだったわ」




昔から、一宮家の利益しか考えてこなかったと思っていた母をあまり好きではなかった私が、母の愚痴を零すとその度に杏寿郎は私を否定した。




小さかった頃は、理想の母親像である瑠火さんを付け回し、杏寿郎に母親を交換して欲しいなんて冗談でも言ってはいけないことを沢山言った。

それに、その頃の私は、幸せな家庭に生まれた杏寿郎に、私の気持ちなんて分かるわけないとさえも思っていた。








しかし彼と私では、家庭環境どころか何もかも違った




煉獄家に生まれたものとして剣士を目指すのではなく、彼は自分の意思で鬼殺隊に入り、いつも他人のために血を流す。


一方、私は自分が一番大切で、恵まれていることにも気づかず、文句ばかりを言っていた。







「…」






ふと、この手紙になんて書いてあるのか怖くなって、私は開封せずに机の上に戻す。


すると、タイミングよく扉が叩かれ、返事をする前に部屋の扉が開けられる。








「…お母様」



私がそう呟くのと同時に、扉を閉めたお母様は私に真っ直ぐ近づき、近くにあった椅子に腰を下ろした。









「…知らないうちに、

あなたも立派な大人になっていたのね」


「へ、」



唐突な話の始まりに驚いて顔を上げると、お母様は小さく笑いを零して私を見る。







「再婚を強制するのは辞めます」




あなたの気持ちも考えず、悪い事をしたと頭を下げようとする母に、私は焦って止めに入る。





「…私も、お母様に謝りたいです」








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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時

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