地獄絵図 ページ29
・
「2階に運ばれた者は、皆比較的軽傷です！」
そう言われて部屋に入れば、どこが軽傷なんだと疑いたくなる程の怪我を追う人達。
私はしのぶちゃんのように専門的な薬学の知識がある訳では無いが、処置の方法などは通っていた学校で習ったことがある。
今まで杏寿郎や千寿郎の怪我程度しか見たこと無かったため、少し緊張するが、私は片っ端から治療を始めた。
・
「お体、見せて頂いてもよろしいですか？」
「はっはいぃぃぃぃ」
◇◇
そんなこんなで、2階に運ばれた人の治療が全て終わったのは数時間後。
ヘトヘトに疲れていた私は、剣士達のご好意により、同じベッドに座らせてもらう。
「…あの、お名前聞いてもよろしいですか」
同い年くらいのようですけど…と顔を赤らめて聞いて来る人に、私は微笑む。
「煉獄Aと申します」
「え？…も、もしや煉獄って…」
「はい。元炎柱、煉獄杏寿郎の妻です」
そう私が自己紹介すると、屋敷中に何十人もの驚きの声が響く。
この挨拶をするのも何度目か。
しかし、私にとってこの挨拶は、今もまだ杏寿郎の妻であると確認できているような気がして、嬉しくて仕方がなかった。
「お静かに！！」
大きな声がして驚いたのか、急いで走ってきたらしいアオイちゃんが、息を切らしながら剣士たちに向かって叫ぶ。
「あっAさん、お疲れ様です
もし大変でなければ、
下の方も手伝って頂きたいのですが」
「はい、もちろん」
そうアオイちゃんに連れられて１階に降りると、私は思わず絶句してしまう。
部屋全体に血の匂いが充満し、剣士のほとんどが片腕か片足、または両方が無くなっている。
事情を把握した街の医者も数名集められているようだが、怪我人に対して全く間に合っていない。
重症の者から手術を行っていると話すアオイちゃんは、どこからか名前を呼ばれると走って行ってしまい、手伝うと言っても医者でもない私が何をすれば良いのかと、私はアオイちゃんの帰りを待つ。
とめどなく流れる血や痛みから叫ぶ隊士達の声に、目を瞑りたくなってしまう程萎縮していると、ふと見慣れた顔が視界に入った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1027人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西川あや x他1人 | 作成日時：2020年10月28日 20時
