偽り ページ27
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「随分率直に聞くのね」
「だって、割と平気そうに見えたから」
平気な訳ないでしょうと勢いで言いかけた私は、これも賢い彼の戦略かと、ハッとしてニッコリ微笑みを浮かべる。
「…辛い、というか
最近良く、寒いと感じるようになったわ」
「…寒い?」
どうしても弱音をこぼしたくない私が、言い方を変えて話すと、もう冬なんだから当たり前だと言わんばかりの時透くんに、私はまた笑ってしまう。
しかし、人と杏寿郎の話を続けられる程、私は彼の死から立ち直れていない。
どうにか話を逸らせないかと、頭の中の情報を網羅していれば、時透くんと炭治郎くんは仲が良いという、蜜璃ちゃんから聞いた話を思い出す。
「そういえば、
炭治郎くん達はもう突破してしまったのかしら」
「炭治郎を知ってるの?」
しばらく会えてないのよと、時透くんに炭治郎くんの話を振ると、パッと顔を輝かせる。
「炭治郎は今療養中だから、
完治し次第参加するって」
「あら、余程重症だったのね」
蜜璃ちゃんと時透くんがあまりにも元気だからすっかり忘れていたけど、上弦の肆と伍を倒したのだから、相当壮絶な戦いだったのだろう。
その後は上手いこと炭治郎くんの話で盛り上がり、昼休憩が終われば、私は時透くんの稽古を見学した。
「時透くん。私、そろそろ帰ろうと思うのだけど」
「え?もう?」
隊士は基本日帰りで稽古場に訪れるため、後は特にやることも無さそうだと話すと、ブスッとした顔で入口まで走ってくる。
「明日も来てくれる?」
「…あら、随分甘えたですね」
期待が籠る時透くんの眼差しに、私はあまりの可愛らしさに、思わずふふっと笑いが零れる。
「これからも、僕の所に手伝いに来て」
「しかし、
明日からは甘露寺様と不死川様の所に「ダメ」
そして数週間の間、毎朝迎えに来てくれる時透くんを断れるはずもなく、時透邸でお手伝いを続けた。
その後、無事炭治郎くんにも会い、禰豆子ちゃんの日の光の克服や痣の状態、上弦との戦いなど、炭治郎くんが杏寿郎との約束を果たすため、着々と進む色々な話を沢山聞いた。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時