元継子 ページ22
◇
二つ目の「宝」を見つけて約3ヶ月。
家の中をもう一度探し直したり、一緒に出かけた場所に行ってみたりしたが全く見つからず、いつも通り買い物のため街へ出ると、見慣れた桃色の髪の毛を見つける。
「あら、蜜璃ちゃん?」
「Aちゃん…!」
杏寿郎の元継子である彼女は、私にとって親しい友人でもあり、お葬式以来久しぶりに会った。
傷だらけな彼女は、私を見つけた途端、元気に走って近づいてきてくれる。
「Aちゃん!どこかでお茶でもしない?」
「ふふっ、そうですね
どこか甘味処にでも入りましょうか」
そう楽しそうに話す蜜璃ちゃんに、釣られるように笑えば、蜜璃ちゃんは私の手を引いておすすめの甘味処に連れていってくれる。
そして店に着き次第、机に向かい合って座り、彼女の大好物である桜餅を2人で注文した。
「そうだわ、あのね。上弦の鬼を倒したの」
突然緊迫した表情で話を始める蜜璃ちゃんは、ここ最近の鬼殺隊の状況を教えてくれる。
上弦の陸を宇髄さんや炭治郎くん、善逸くんや伊之助くんが倒し、宇髄さんは怪我により柱を引退してしまったこと。
そして、刀鍛冶の里に上弦の肆と伍が出現し、蜜璃ちゃんと時透くん、そして炭治郎くん達によって制圧に成功したこと。
「凄い…」
あまりにも急速に進む話の展開に驚いていると、蜜璃ちゃんは上弦の鬼との戦いを細かに説明してくれる。
その途中で頼んでいた桜餅が到着すると、蜜璃ちゃんは一気に何個もの桜餅を頬張りながら、痣についての話を挟んだ。
「…痣?」
「そう!その痣が出現すると
力がとっても強くなるのよ〜!」
そんな蜜璃ちゃんのフワッとした内容に、私は思わず、なんだその魔法のような話はと疑ってしまう。
一宮家の伝承にその痣という物の話は伝わっていない
そのため、あまり外部に話してはいけないのではと蜜璃ちゃんを心配していると、特に何も考えずに私に話したようで、ニッコリと笑顔を返される。
「…」
しかし、本当に痣が出たとして、この世にそんな都合のいいものがあるのか。
そう思ってニコニコする蜜璃ちゃんのことをじっと見つめていると、蜜璃ちゃんは困ったように笑いを零した。
「やっぱり、Aちゃんには敵わないわね」
蜜璃ちゃんは小さくそう呟いて、痣の出現とは命の前借りであり、痣者は25には死んでしまうと私に告げた。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時