癖 ページ19
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閉店後まで待とうと、私は小芭内と街でご飯を食べた後、その辺りのお店を色々回って、もう一度櫛屋に戻ってくる。
「俺はこちらから探す」
「はい、では私は棚の方から見てきますね」
効率よく、二手に別れて探すことになったのだが、小芭内から鏑丸を借りた私はなんだか楽をしてしまう。
鏑丸のおかげで、動かすことなく棚の裏まで隅々と探すことが出来るため、順調に進んだように見えた宝探しは、半刻以上探しても、結局見つからない。
「ありがとう、鏑丸」
ずっと棚の裏を探してくれていた鏑丸にお礼を言いながら、私は埃を落として抱き上げる。
商品の下や会計をする場所など、店内を全て探し終えた小芭内は、またもやブツブツと文句を言い出す。
「…煉獄め、見つけさせる気がないではないか」
そりゃそうだ。
この宝探しが終われば私は死ぬのだから。
そう憎まれ口を叩こうとしたが、手伝って貰っているのだからと、必死に口を閉ざす。
「伊黒様は忍耐力が欠けているのでは？」
炭治郎くん達は数時間、ずっと土を掘ってくれたというのに…と、嫌味ったらしく肩を竦めれば、キッと蛇のように睨まれる。
「鏑丸も、私のためにこんなに埃だらけに…」
ヨシヨシと鏑丸の頭の辺りを撫でながら、店の木造椅子に腰掛ける小芭内の隣に座る。
「お前、アイツと関わりがあるのか」
「ええ、とっても素敵な人だったわ」
アイツとはもちろん炭治郎くんのことで、杏寿郎が未来を託し、信じると言った理由がよく分かる子だと話せば、鼻で笑われる。
「煉獄が何を考えているのかわからんな」
「そうかしら？」
あの人結構分かりやすいじゃないと、小芭内に笑いかけながら、私は昔のことを思い出す。
槇寿郎さんが落ち葉を集め始めると、焼き芋をするのだと勝手に期待して、必ず声が大きくなる。
寂しい時や困った時は直ぐに眉が下がるし、私に遺書を見つけられた時だって、
「あ、」
「…？なんだ、いきなり」
私は一旦思考を止めて、椅子から立ち上がる。
そして床に膝を着いて、私は椅子の裏を覗き込んだ。
「やっぱり…」
椅子の裏には、同系色の紙で包まれた何かが粘着テープで止められている。
なぜあの人はなんでも、尻下に物を隠そうとするのか
そんな呆れた感情と反対に、彼の純粋な愛らしさに胸がときめいた。
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作者名：西川あや x他1人 | 作成日時：2020年10月28日 20時
