思い出 ページ14
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「隠す人の立場に立ってみると良いのでは?」
杏寿郎と始めた宝探しについて、私が10個揃えば死ぬということを伏せて、善逸くんと伊之助くんにも話すと、快く手伝うと名乗り出てくれた。(主に善逸くん)
「あの人のことだから、
自分の胃の中に隠したとか言いそうじゃない?」
「え、」
私がそう冗談で言うと、顔を青ざめさせる善逸くん。
まさか本気にするなんて思わなくて、そんな食いしん坊な性格だと思われているのかと、私まで驚いてしまう。
「記念の日や思い出の場所とか、
そう言った場所はもう探しましたか?」
「いいえ、まだ家の…」
そう炭治郎くんに言われてすぐ、私にはある場所を思い出した。
◇
「うわ〜立派な桜の木ですね!」
「申し訳ないわ、皆任務で疲れているでしょうに」
私が今からその心当たりのある場所に行くと言うと、3人は任務終わりなのに着いて来てくれた。
「あのぅAさん
ここ、あんまり隠し場所が無さそうなんですけど」
そう不安そうに尋ねてくる善逸くんに、私はふふっと笑いをの零す。
「隠すなら、多分ここね」
そして笑顔のまま、着物の袖を捲りあげて地面を指すと、これから何をするのか察した3人は、青ざめた顔をして私を見た。
◇
「っ疲れた!もう無理!!」
近所の人から穴を掘る道具を借りてきて数時間。
善逸くんが痺れを切らしたようにそう叫ぶ。
「善逸!自分から手伝うと言ったんだろう!」
「そうだけどさー!!俺はただAさんに素敵って言われたかっただけだもん!!」
「何言ってんだコイツ…」
ワイワイと騒ぐ3人を横目に、私は皆より軽い道具で少しずつ穴を掘る。
何かが隠された形跡もないし、もしかしたら予想が外れてしまったかと、私も諦めかけたところでカツンと何かが当たった音がした。
「…!」
驚いてその周りを掘っていくと、缶でできた容器が姿を現す。
「炭治郎くん、善逸くん、伊之助くん」
そう3人の名前を呼ぶと、皆は不思議そうに私に顔を向ける。
「…これ、」
3人に見せるように前に缶を掲げれば、炭治郎くん達は驚いたように走って近づいてくる。
ゆっくり蓋を開ければ、袋に何重にも包まれた手紙が出てきて、彼の懐かしい字が目に入る。
「…っ」
あぁ、早速あなたに会いたくなってしまった。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時