鬼の少女 ページ13
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あの個性豊かな人達が、どんな風に戦うのか聞いてみたくて3人に問うと、冨岡さんやしのぶちゃんの話を中心に、炭治郎くんからは不死川さんや小芭内の話題まで出てきた。
4人でそんな柱の方達の話なんかをしていると、突然ベットに置いてあった箱からガタッと音がする。
何か荷物でも入っているのかと思っていたその箱に顔を向ければ、とても可愛らしい小さな女の子がひょっこりと顔を出した。
「あっ禰豆子!」
炭治郎くんに禰豆子と呼ばれたその少女は、私の目の前まで来て、じっと私の顔を見つめている。
「…鬼」
「だっ大丈夫ですAさん!!
禰豆子は鬼だけど!人のことは絶対に襲いません!」
縦に開く瞳孔と長い爪。
私がその少女を見て鬼だと呟くと、焦ったように炭治郎くんがなにやら説明してくる。
善逸くんも慌てた様子で、禰豆子ちゃんは安全だと身振り手振りで伝えてくるが、私はそんな2人に構わず、その女の子と目を合わせるために床に膝を着いた。
「禰豆子ちゃん」
そう名前を呼んで頭を撫でてあげれば、嬉しそうに私の手に自分の手を重ねて、ムームーと笑う。
「ふふっ禰豆子ちゃんは炭治郎くんの妹さんかしら」
「へ、」
禰豆子ちゃんの頭を撫でながら私がそう聞くと、炭治郎くんは驚いたように声を漏らした。
「…煉獄さんから
禰豆子のことを聞いていたんですか?」
「彼はあまり、私に仕事の話はしないわ」
ただ目元がそっくりで、君に似てとても優しそうだったからと笑いかければ、炭治郎くんは泣きそうな顔で私を見る。
…正直とても驚いた。
人を食わないどころか、温厚で優しくて、可愛らしい鬼がいるなんて。
どんな経緯で禰豆子ちゃんが鬼になってしまったのかは分からないが、自分の身内が鬼になってしまった辛さなど想像もつかない。
それに善逸くんや伊之助くんだって、鬼殺隊である以上は、炭治郎くんが禰豆子ちゃんを連れていることに抵抗があるはず。
それなのに、先程から禰豆子ちゃんを庇うようにアタフタと慌てる彼らを見ると、友達のような、家族のような、そんな絆を感じた。
「…今日、君たちに会えてよかった」
杏寿郎が、炭治郎くんだけでなく、この子達のことを信じたいと思う気持ちが、私にも何となくわかった気がした。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時