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蝶屋敷 ページ11











「会えて嬉しいわ、しのぶちゃん」


「えぇ、私もです」



本当に久しぶりに会うため、嬉しくて私も自然と笑顔になる。





そんな私たちが見てか、炭治郎くんは早々に部屋を退室し、カナヲというしのぶちゃんの継子がお茶を出してくれた。



















「…薬の副作用の方はどうでしたか?」


「全く問題なかったですよ」



たくさん近況を話終えたあと、そう悲しそうに聞いてくるしのぶちゃんに、私はいつも通り笑って返す。









薬…というのは、私の不妊治療のためのモノ。






結婚して杏寿郎と何度かの房事を終えた後、いつまで経っても妊娠の症状が出ず、子が出来なかったため、私はしのぶちゃんの元で診察を受けていたのだ。


そして定期的に体を見てもらっているうちに、私たちは親しい関係になった。









「ねぇ、しのぶちゃん」



目を伏せるしのぶちゃんに、私はゆっくり話しかける。









「しのぶちゃんも、体には気をつけてね」


「へ、」



言っていいのか迷ったが、私は言わずには居られなかった。



出会った当初は口紅など塗っていなかったのに、日に日に濃さを増す赤。

杏寿郎から聞いた話によれば、しのぶちゃんは上弦の鬼に姉を殺されている。








「…口紅の色、もう少し濃くしないと」



そんな毒を操る彼女が、強い鬼に対してどんな戦いをするかなど容易く想像できる。




蝶屋敷の子達にバレてしまうわよと、私は鞄の中から口紅を取り出して、トントンしのぶちゃんの唇に色を載せてあげれば、驚いたように目を見開いて固まっている。









「…そんなに分かりやすかったでしょうか」


「いえ、完璧でした」



そう答える私に、じゃあなんで…とばかりに凝視してくるしのぶちゃんに、思わず笑ってしまう。








「だって、友達だもの」


そう言って微笑み、しのぶちゃんに私の口紅を握らせると、いただけませんと断られてしまう。







「私のお古で悪いけれど、

しのぶちゃんに持っていて欲しい」



これ結構良いお店のなのよと、冗談っぽく笑って、ユラユラと瞳を揺らすしのぶちゃんをそっと抱き締める。









「しのぶちゃんは強い」



あなたならきっと大丈夫よ。



そう背中を叩いてあげると、しのぶちゃんは小さな声で、ありがとうと呟いた。









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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時

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