あなたのいない、この世界で【煉獄杏寿郎】 (ページ1)

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訃報ページ1

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いつも通りの朝。

そろそろ帰ってくる頃かと、早くから彼の大好きなさつまいも料理を準備していると、1羽の鴉が窓の縁に止まる。

「カアアアーーッ死亡!!煉獄杏寿郎死亡!!」

けたたましくそう話す鴉は、彼が属している鬼殺隊という組織の鎹。

「…は、」

鴉からそんな報せを聞いた私は、あまりにも信じ難いその内容を、理解するのに時間がかかる。

そんな放心状態の私に、鴉は

『上弦の三と格闘の末、死亡』と言い直した。

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杏寿郎が、死んだ…？

いや、まだ分からないじゃない。

信じたくない私は小さな期待を馳せて、誰かから確証を得るため、思ったより冷静な頭で屋敷を走る。

「ッは、…はぁ」

こんなに大股を開けて走るのは子供の時以来で、私は下品だなんて考えにもたどり着かないくらい必死だった。

そうして長い廊下の角を曲がり、まだ自分の部屋にいるであろう槇寿郎さんの元へ向かう。

数十秒も走っていないのに心臓が痛くなるが、私はそんなことお構い無しで目的地である部屋の襖を、勢いよく開いた。

「…なんだ、騒々しい」

布団に寝ながら、そう睨みをきかせてくる槇寿郎さんを見て、私は安心してしまったのか、力が抜けるように部屋に倒れ込む。

反射的に私に手を伸ばす槇寿郎さんは、酷く驚いたような顔をしていて、私の真っ青な顔を見て、真面目な顔付きで辺りを見渡し始めた。

「鬼の侵入、ではなさそうだな」

そう呟いてから、どうした？と昔のような声色で聞いてくる槇寿郎さんに、私は早く話さなければと過呼吸気味の呼吸を整える。

「っ杏、寿郎が…！」

嫁入り前、母に人前で杏寿郎を呼び捨てにするのを、散々叱られたというのに、焦っていた私は素が飛び出してしまう。

しかし、今はそんなこと気にしている場合ではないと、続きを口にしようとした時、

「カアアアーー!!死亡!!煉獄杏寿郎死亡!!」

先程、私の元にいた鴉が、

今度は槇寿郎さんの部屋でその訃報をもう一度告げた

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