好き、なの (ページ9)

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この日から、学内ですれ違った時や昼食時など、出会った時に手を振ってくれるようになった。

つられて、私も振り返す。

笑顔で去っていく深田くんはとっても輝いて見えた。

光「Aって竜生と面識あったの？」

『うん、この前話しかけてくれてね、とってもいい人だなって』

光「ふーん」

『カフェでもすごい気が合ってね』

光「Aさ」

『ん？』

光「おじいちゃんの夢は叶えたいけど、でもAの気持ちを優先させなよ」

『、え？』

光「まぁ俺はA一番だけど」

私の気持ちを優先させるって、どういうこと？

私はおじいちゃんの夢を叶えたい。

大好きなおじいちゃんの夢を。

だから、光成と、

あれ、ちょっと胸が痛い。

深田くんの顔が頭に浮かぶ。

なんで？

なんで今、深田くんが？

今まで、こんな感情は経験したことがない。

この胸の痛みはなに？

きゅーっとなって心が苦しい。

そうだ、きっと、疲れているんだ。

入学したてで忙しかったから。

今日は早く帰って寝よう。

なのに、この苦しさはいつまで経っても消えなかった。