好き、なの (ページ1)

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深田side

ロングコートがぴったりの季節になった。

人肌恋しくなる季節だ。

彼女は元気にしているだろうか。

1年前に別れた彼女のことを今も引きずっている自分のことが嫌になる。

新しい恋に踏み出したいが、忘れられないのだから仕方がない。

大学生の時に付き合っていた彼女のことを思い出しては、前に進めないのだ。

仕事がもう少し落ち着いたらもう一度、告白するつもりだ。

時計は18:00を指していた。

明日は休日だからどこかに飲みに行こうか。

貯めていた初任給でなに買おうかな、と思考をめぐらしながら会社を出る。

風が冷たくて、すぐに手が悴んできた。

ﾌﾞﾌﾞｯとスマホがなる。

通知欄に出た名前は、彼女のものだった。

心臓がドキっと跳ね、トークを開く。

"久しぶり。嫌じゃなかったら、ご飯でもどうですか？"

二つ返事でトークを返す。

"じゃあ、明日、11:00にここで待ってるね"

　"うん、ありがとう。楽しみ。"

なんて、浮かれて返事をした。

もしかしたら、もしかするかも。

彼女も俺を忘れられなくて…の展開？

心を踊らせながら準備した。