Swing Love【Daigo.N】

15▽温度差やめてぇぇぇ ページ15

消毒セットを片付け、少し時間が経ち、窓の外をチラッと見る。

…もう日が暮れる。

そろそろ…だな。
ちゃんと、言えるかな。
1度深呼吸をして、できるだけ冷たい声を出せるように咳払いをする。


『じゃあ、そろそろ…
今日はありがとうございました！これからも応援してます…！お体に気をつけてお仕事頑張ってくださいね！あと…』

『もうここに来ないで下さい。迷惑なんで…もう来ないでほしいです。』


すみませんとぺこりと頭を下げる。

ぽかんとしている大ちゅん。


あ、最後に握手だけ…と言ってどさくさ紛れに握手してもらう。これくらいならわがままじゃないよね。うん。

この手を離したら…もう、全部終わりなんだ。


｢あの…｣

なにか言いたそうにしてるけど触れていた手をぱっとひき、言葉を遮って、気をつけて帰って下さいね！と自分の足元を見る。

目を合わせるとホントのことを言ってしまいそうで。

ーーー行かないでって。また会いに来てほしいって。



でも…これでいいんだ。会いたいとかもっと話したいとか思っちゃダメなんだ。


ファンとしての一線は超えちゃいけない。


突き放すのだってお互いのためなんだ。

大ちゅんだって、責任感で来てくれてるかもしれないけど、それが自分の首を締めていないとは言い切れない。


少し目頭が熱くなり、目が潤んで視界がぼやけてきたが、グッとこらえる。

泣いちゃ…ダメだ…。

耐えなきゃ…


ずっと黙って俯いていると、大ちゅんが部屋から出ていく気配がした。


これで…良かったんだよね…


ぽたぽたっと床に涙がこぼれ落ちた。

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