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ギルブリーシングシンドローム ページ9

___

だんだんと日にちを追うごとに肺呼吸が出来なくなっていく病。

それと反比例するように、エラ呼吸が出来るようになっていく。

(厳密に言えば人間にエラはないので、どういうメカニズムなのかは不明)


完全に肺呼吸が出来なくなると、皮膚がウロコに変化し始める。

最終的には人魚のような容姿になるが、そこまで病が進行すると発病前の記憶は失われ(自分が人間であることすら忘れる)、本物の魚のようになってしまう。


故に、そこまで進行する前に患者が自ら命を絶つことも少なくない。

発病原因、治療法などは不明。

___

「優香、最近調子いいね」

「でしょー」

と、私は蒼葉に向かってVサインを送る。
今は、習い事のプールの最中。

バタ足を100メートルほど、
泳ぎ終わった蒼葉はこう言った。

「なんかコツとかあんの?」

んー。と、私は首を傾げる。

「最近、なんか水中で息ができる気がするの」

これは本当だった。
息継ぎせずに、
前までクロールで、25mしか行けなかったのに、
今は、50mも、余裕だ。

「へえ……良くわかんないや」

と、蒼葉は再び泳ぎ始めた。

プールから上がると、
息が苦しくなった。
沢山泳いで疲れたのかな。
と、その時はあまり気に止めなかった。

それから数日後。
私は、普通に生活しづらくなった。
少し、息が苦しい。


プールの中では、普通に、
泳げる。いつもよりも、
たくさん泳げるのだ。




『今、思えば。』

と、青い鱗をまとった、美しい少女は言った。

『……いや、私は何を思ったのか』

少女は頭を抱えた。
そう言えば、この少女は
ここに来た時から、
何かを思い出したかったように見えた。
しかし、それはどう頑張っても思い出せないようであった。



カチリ。

「思い出したくても思い出せない……。
これほど苦しいことは無いですよね。博士」

「……」

「? なんと言いましたか」

博士はぱくぱくと口を動かした。
何かを訴えているようだが、
それは少女には伝わらなかった。

そうしているうちに、またラジオは動き始めた。

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兎危@ゆっ家族 - わぁぁあ、私が提案したのが載ってる...(当たり前?)読み方はあってますよ!皆さん読み方を付けてコメントしていたので間違ってはいないと思います! (2018年5月10日 17時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
空百合@募集企画運営のため低浮上(プロフ) - やっぱり何回読んでもめっちゃ面白い(´;ω;`)私には書けないなぁ…… (2018年5月4日 4時) (レス) id: 3dba0349b8 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 綺夜音さん» ありがとうございます! (2018年3月28日 9時) (レス) id: 46c09611b4 (このIDを非表示/違反報告)
綺夜音(プロフ) - 面白過ぎて、恐縮しましたよ!一気読みしちゃいました!!面白いので、更新楽しみにしています。 (2018年3月26日 19時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます! (2018年3月15日 20時) (レス) id: 46c09611b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みき | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月12日 20時

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