奇病患い 【短編集】

インビジブルシンドローム ページ22

「××さんが、カメラの不具合で、映っていなかったので、
一人だけの写真として撮らせてほしい。後で合成するので」

と、カメラマンのお兄さん
────いやそれほど若くはない。が言った。
どうやら私が呼びたされたのはそれが原因らしく、
怒られる訳では無いことに安堵した。

「あれー？ やっぱり映らないな。
カメラの点検をしてくるのでまた撮らせてくださいね」

と、頭をガリガリ掻きながら帰っていった。
みんなは映っていたのに、私は映っていない。
これはカメラの不具合ではないのではないか。

そう言えばおかしい事はいっぱいあった。
今日だって鏡に私は映っていなかったし、
家に鏡がないことも。
普通の家ならばあるはずの物だ。

もしかして。
もしかして母は。

私が鏡に映らないことを知っていた？
だから私を傷つけないように？
母は私を愛していないわけではなかったのだ。

幼い頃に聞いた

「あなたが傷つかないために」

という意味がやっとわかった気がして、
ポロポロと涙が零れた。

まぁ。
どれだけ泣いても私が。
透明人間であることに変わりはない。

少女は泣けば泣くほど、
自分が空っぽになってゆくような気がした。


END

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書き終わってから気づいたんですけど、
この奇病って透明人間になる訳じゃないんですよね……
まあ優香さんは勘違いしているってことでよろしくお願いします！

そろそろ1万hit行きますね！
楽しみで朝も起きられません(笑)

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