九話 ページ10
男が俺をなめ回すように見る。
その行動に嫌悪し震える。
女の子が着るようなフリフリの純白のドレスを着せて俺を愛でる様はとても気持ち悪い。
今日は男の様子がおかしい。
いや、いつもおかしいが今日は一段と変だ。そわそわしていて何をたくらんでいるんだ？
「ぐふっ、今日はシャーロットちゃんが完璧な人形になれるように薬を持ってきたよ」
ぐふふと笑いながら近づいてくる男に恐怖を覚え逃げようとするも体が動かない。
ハッと左右を見渡すと無表情のメイドたちが俺を左右から押さえつけていた。
男に口を無理矢理広げられ錠剤をいくつか飲まされる。
そして口を塞がれた。
あまりの息苦しさに錠剤を飲み込んでしまう。
瞬間、ドクンッ！と心臓が跳ねた。
「あ、ぁ゛あ゛あァあ゛あ゛ああ！」
全身が軋んだように痛む。全身が、血が沸騰したように熱い。体を焼き尽くすような痛みに俺はのたうち回った。
ソファから転げ落ち、自身の手で自分の首を絞めるように狂いそうな痛みに耐え、それでもままならず足を地面に打ち付ける。
やがて、体力がなくなって耐えられなくなり気絶した。
男は悲鳴ものたうち回る様も愉しそうに眺めたあと、気絶した様子に興味をなくし部屋を出ていった。
気絶したとき、夢を見た。
いや、思い出したと言うべきか。
両親に捨てられ、孤児院に入り、職員にまともな扱いもされない。
次第に小さい子の面倒を見るようになり、更に苦労も増える。大切な弟たちを守らなければならない。
しかし、そんな淡い願いも消える。
孤児院に逃走中の殺人犯が入り、子供を全員殺した。職員は子供を餌に逃げた。警察は癒着しまともに取り合ってくれなかった。
あぁ、現実なんてこんなもんだ。
助けてくれる真っ白な人間なんて結局物語だけ。その物語も夢過ぎて殺意がわくようになった。だって、自分を守るのは社会でも法でもましてや大人でもない。自分だけだ。自分だけが自分を自分の心を守れるのだ。
思い出したくもなかった記憶は今までの思い出と交ざり、自分に定着した。
それから俺は目覚めると男に人形のような扱いを受け、愛でられたあと徐々に増える薬を飲まされ、のたうち回るはめになった。
死を覚悟させるほどの痛みなのにあれでも徐々に与えているに過ぎないようだ。
痛みは徐々に体を思考を鈍らせた。
最近はろくに抵抗もせずに薬を飲んでは痛みに悲鳴をあげた。
それ以来、あまり覚えていない。
何故、あんなに生きたいと願ったのだろうか
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nisenyanko(プロフ) - コメントありがとうございます！展開は秘密ですがいずれそうなればなーと思っています。これからも頑張るので続き楽しみにしててください！ありがとうございます！ (2018年12月26日 23時) (
レス) id: 027a8e152b (このIDを非表示/違反報告)
穏無(ナゴム)(プロフ) - コメント失礼します！この作品、とても大好きです！すごい続きが楽しみです！弟とは再開できるんでしょうか？……もしかして弟の聡明さから探偵になってたり、とにかく続きが楽しみです！頑張ってください (2018年12月26日 21時) (レス) id: 9a610d9bc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nisenyanko | 作成日時：2018年12月25日 22時
