二十二話 ページ23
彼は静かに目の前の男に目隠しをした。
男は隠された視界により何をされるのかと思考力が鮮明になる。
男は自分の考える最悪の展開を想像し身を震え上がらせた。
彼はそれを見て口を吊り上げて微笑んだ。
その姿を男が見なかったのは幸福かもしれない。
彼は静かにナイフをとり出し、男の首筋に当てて言った。男はいきなり首に当てられた冷たさに何が当てられているのかを想像し、ゾッと身を凍らせた。
男はその反応に笑みを深め、ナイフを少し滑らせた。
「ふふっ、首から血がでてしまいましたね？」
男はその言葉にハッキリと状況を想像し、痛みを感じ、死を連想してしまう。
ピチャッピチャッと音がする。
男は視界を隠されたこと２より他の感覚が鋭くなり、その小さな音も聞き逃さなかった。
音はとても近く、落ちるたびに生暖かく感じた。いや、冷たいかもしれない。
しばらくして、また男の声が聴こえた。
「血が流れてますよ？」
男は理解する。
これは血だと。
男は回転しない頭で考える。
血は体から３分の１減ると命の危機で、２分の１だと死に至ると思い出す。
この勢いで血が減ればどれくらいもつ？
早く血を止めなければ生きることは不可能になる。
彼はそれを見て計画通り進んでいることを怖くも感じたが、同時に嬉しくも思った。
彼は身長約180�僂�らいの細身でトレンチコートとハットを被り、どこか気品のよい政治家のような姿だった。
だから男は見たまんまで判断し、結果見誤った。男は政治家なんて表の権力者てはなく、裏の権力者であり、男の店に訪れたのは報復し絶望を味あわせるためだけだったのだ。
また男は声が聴こえた。
「そろそろ致死量の半分ほどかな？どれくらいかな？かなり流れたね？」
彼は訪ねるように静かに囁く。
男はもう時間なんてわからなくなっていた。
男は彼が店に来た時点で運命を迎えていたのだ。
それからまもなく、男は何も言わなくなった。
死んでしまったのだ。
血が流れすぎたからだ。
彼は確かめるように首筋に手をあて、脈が止まっているのを確認し、
口元に近づき呼吸が無いのを確めた。
それでも彼は慎重に動き出すかもと、脳が生きている時間を待ち、
そしてようやく彼は男が死んだのを認め、満足したようにその場を離れ、
現場を隠すために燃やし尽くした。
燃え続ける現場には椅子に縛られた男がただ眠るように死んでいた。
その場には血は一滴も流れていなかった。
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nisenyanko(プロフ) - コメントありがとうございます！展開は秘密ですがいずれそうなればなーと思っています。これからも頑張るので続き楽しみにしててください！ありがとうございます！ (2018年12月26日 23時) (
レス) id: 027a8e152b (このIDを非表示/違反報告)
穏無(ナゴム)(プロフ) - コメント失礼します！この作品、とても大好きです！すごい続きが楽しみです！弟とは再開できるんでしょうか？……もしかして弟の聡明さから探偵になってたり、とにかく続きが楽しみです！頑張ってください (2018年12月26日 21時) (レス) id: 9a610d9bc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nisenyanko | 作成日時：2018年12月25日 22時
