１２６話 ページ31
暗闇の中、混乱する私の脳内に響き渡る男性の声。
その声はどこか穏やかなものであった
《んふふ、A、もう忘れたんか…？俺はお前のにいちゃんやで…？》
『えっ…じゃ、じゃあアル、兄さん…？』
暗闇の中、うっすらと目の前に白い影が姿を見せた。
顔は見えない、口から上は消えかかっている…
兄だというその影の足元は泥や砂埃で汚れていた
《うん、そうそう。一回言ってみ…？___お兄ちゃんって》
『お、にい…？』
《んふ、ええ子や。あ、そうやA！》
アル兄さんと幼い頃の記憶だろうか…？
私が何かしらの原因で記憶がなくなる前の思い出…？
アル兄さんにしては声が高い低いような気もするけど、それは目の前の兄が子供の頃だからだろうか…？
《お腹空いてへん…？Aのためにご飯とってきたで！》
『！おなか、すいた…』
わからない…口から言葉が勝手に出てくるのだ。
やはり過去の忘れた記憶だからなのか？
目の前の影が何かを後ろに隠している素振り…手ぇ出してみ、と嬉しそうな弾む声。
何も考えず、ただ言われた通りに手を差し出した
『！』
目の前に出された自分の手、それは今の自身の手じゃない。
明らかに子供のように幼い、小さな柔らかそうな手だった
嗚呼、やっぱり私が子供の頃の記憶なのか…。
だからこんなにも懐かしく、そして兄の声が落ち着いて聞こえるのか…。
《ん、これ食べ》
『！』
手の上に置かれたのはパンのかけら。
お世辞にもパン屋さんで売っているようなものじゃない、三口ほど食べたら終わってしまう…そのぐらいの小ささであった
でも、目の前の兄は自慢げにどうや？と声を弾ませている
『わぁ、すごい！』
《んふふ、そうやろ？！また俺がとってきたるから》
『ありがとう！___にぃ』
自分の声は弾んで嬉しそうである(実際は何も思っていない)
おかしい、さっきからおかしい！
これは私の声じゃない！私はこんな、幼い声じゃない！
意識はちゃんとあるのに、出てくる言葉は殆ど呂律が回っていない。
こんな声も高くない！
間違いない…これは、私が幼い時の、兄との記憶だ。
兄の顔を見たくて、顔をあげたと同時に視界がゆっくりとボヤけ出した。
水の中に入ったように視界がぐわんぐわんと揺れて波打っている
目の前の影がゆっくりとチリになり消えていく
消える瞬間に、ふと頭の上に感じた感触。
ほんの一瞬だけど、影に撫でられたような気がした
『！』
私は水に呑まれ、辺り一面が再び真っ暗になった
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にろ。(プロフ) - 店員です！さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてすごく嬉しいです！！これからもこの作品をご贔屓によろしくお願いします！ (2020年9月2日 21時) (
レス) id: b75158f124 (このIDを非表示/違反報告)
店員です！ - 下のコメントとにかく内容がぐちゃぐちゃで申し訳ないです、、すみません、文字数がオーバーしてしまうので二つに分けさせていただきました、 (2020年9月1日 22時) (レス) id: 69c0d25b87 (このIDを非表示/違反報告)
店員です！ - 初コメ失礼します！にろ様の作品がおすすめに出てきており気になって一昨日から読ませていただいております。自分すごく飽き性なんですがにろ様の作品は、楽しくて手が止まることなく読むことが出来ております！（面白いということです、）これからも応援しております！ (2020年9月1日 22時) (レス) id: 69c0d25b87 (このIDを非表示/違反報告)
にろ。(プロフ) - まふゆさん» コメントありがとうございます！ただいまです！そう言って頂けるだけで涙が出そうです…！お待たせいたしました！ (2020年8月31日 21時) (レス) id: b75158f124 (このIDを非表示/違反報告)
まふゆ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいています！おかえりなさい！これからも無理せず、無理だと思ったら更新停止にして、少しづつでもこの素敵な小説を進めて行ってくださると嬉しいです！ (2020年8月31日 21時) (レス) id: 295871ab0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にろ。 | 作成日時：2020年8月6日 23時
