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「ね、ほくと怒らないで」
「は？俺別に京本におこってるんじゃないよ？なに？それとも京本に怒ったほうがいい？」
京本はゆるく首を振る。そのかすかな振動で何十倍も胃がかき回される。
「んっ、えほっけほ……おええっ」
はぁはあと吐き気に翻弄された呼吸を整える。
「なんできてくれたの」
「あんな電話されてこないほど冷たいやつじゃない」
松村は眉を下げた。
少し確認したいことがあって電話を掛けたら明らかに異常事態だった。
マネージャー経由で居場所を確認して、そのままタクシーで居酒屋に向かった。
「京本はいますか」とたずねてまわってもみんな酔っていて要領を得ない。
イライラが顔に出そうになった時、トイレのサインが目についた。
「きょうもと？いる？」
乱雑なノックと周りに対するイライラが混じった声は、
それでも京本にとって救いだった。
ほくと、と京本はつぶやいたつもりだった。
松村は耳を澄ませる。
「ん、ぐっ……おえ、ぇろっっ……」
まごうことなき京本の声だった。
直後上がった激しい水音に耐えかねて松村はドアを開ける。視界に飛び込んだのはぐったりと便器を抱え込む京本だった。
「みんなは？」
「お前がいないことも知らずに楽しんでるやつらのこと？」
「たのしんでるならいいよ」
お前さあ、と松村はため息をつく。
「自分で飲んだんじゃないよね？のまされたんだよね？」
脱力しかけた京本の体を自分側に引き寄せて寄りかからせる。
トイレの壁は汚いだろうがまあそれどころではない。
「楽日そのまま打ち上げで京本が疲れてんのだってわかってるはずじゃん」
京本の長いまつ毛に縁どられたまぶたがふるりとふるえ水晶のようななみだが落ちる。
松村は言葉をうしなった。
美しくて眩しくて目を逸らす。
「ほく、と…気持ち悪ぃ…」
その声に松村は彼の背中を摩ることしかできなくて、唇をかんだ。
その姿にどうしようもなく心が疼いていることに気がついてしまう。
その激しい嘔吐に爛れた声が紡いでいるのが自分の名前だということが、
たすけて、と己を求められるのが、
本当は嬉しいだなんて。
とてつもなく不謹慎だと松村だってわかっている。
それでもなお羽をもがれた天使のように弱々しく呼吸する彼は美しく、その美しさは松村の心をいつもくすぐる。
よるはまだ、明けそうになかった。
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雪音（ゆのん）(プロフ) - なので、きょもほくの「うつくしいひと」のきょも視点をお願いします。 (1月29日 12時) (
レス) id: c18d06783b (このIDを非表示/違反報告)
雪音（ゆのん）(プロフ) - あと、久々にリクエストなんですが、きょもほくの「うつくしいひと」という話を読んでいて、その話のきょも視点が読みたくなりました。 (1月29日 12時) (レス) id: c18d06783b (このIDを非表示/違反報告)
雪音（ゆのん）(プロフ) - こんにちは！お返事ありがとうございます。わかりました！楽しみに待ってます(^o^) (1月29日 12時) (レス) @page3 id: c18d06783b (このIDを非表示/違反報告)
2020(プロフ) - 雪音（ゆのん）さん» お久しぶりです！にのふま、時間ができたら修正してアップします (1月28日 22時) (レス) id: 5073d9421b (このIDを非表示/違反報告)
雪音（ゆのん）(プロフ) - こんばんは！あれ？にのふまの話、消えてる？ (11月3日 17時) (レス) id: c18d06783b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：2020 | 作成日時：2021年4月27日 16時
