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No.1、ファースト、あだ名は確か、赤髪のとも。頼れるお兄さん的存在だった。
…でも彼は、こんな人じゃなかった。もっと優しくて、もっと頼れる存在で、お兄ちゃんで。優しいエチュードのように暖かい記憶が、焦る心と正反対に脳内にゆったりと流れていく。
『ようこそエイト!僕達は歓迎するよ!』
『エイト、これあげる。みんなには内緒だよ?』
『…エイト、僕の前だけで、泣いていいよ。』
『エイト、大好きだよ、だから僕を嫌いにならないでね。』
「…ファースト…」
「あは、覚えてくれてた。そりゃそっか、僕が一番、君の事を大切にしたもんね。」
「みんなもいるよ、僕達全員、実験に成功したんだよ!おいでよ!!」
そう言ってローブをかぶった3人の姿。まさか、まさかだけど、残りの、嘘だ。目の前の真実に目を閉じたくなる。けれど、彼は私を離さない。痛いぐらいに握りしめて、離さない。
フードを各々下ろす。私が尊敬していた、お兄さん的存在の、皆。その3人の顔は、成長はしているはずなのに、面影は全く変わってなかった。
・
「…エイト、元気にしてた?」
「さ、サード、の…クロノア、さん…」
・
「やっぱり変わんないねぇ、エイト笑って笑って!!」
「ファイブ…ぁ、ぁ…死神、さん…」
・
「大きくなったね、エイト。まさかこちら側に来るとは思ってなかったけどさ。」
「せ、ぶんす、…ぺいんと、さん…」
喉がカラカラ、瞳孔は開きっぱなし。血の気が降りる。軽く息が吸えなくなるほど浅くなる不規則な呼吸。蘇る何も知らなかった幼き日々の優しい過去。
それが、こんなにも醜い現実になるなんて。
でもそれは確かに、一つずつ真実のピースをはめていったとはいえども、そんな思考など作動する余裕など私にはなかった。みんな生きていた、けどどうして。
「セカンドはね、新しい人体実験の被験者になるんだ。」
「っ…!!だめ!!返して!!アヤカを返して!!」
「とっても優秀な子だね。…まぁそっか、セカンドは元々"スパイ"やってたもんね。そりゃ優秀だよ。」
「だめ、だめだよ、アヤカ、かえし、て。」
「あぁ、先に真実を教えてあげるよ。」
口を人差し指を当てられ、しぃ、と微笑んだその顔に、私は恐怖しか言える言葉がない。そして彼は嬉しそうに、真実を語るのだった。
くらくらする、私の意識が酩酊して沈むまで、彼は子守唄のように真実を語るのだった。
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タグにダークホース構成メンバーを追加しました。タグさんお疲れ様です。
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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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