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確かに、はっきりと聞こえた。耳にこだまする宣戦布告の文字。伏せ目がちだった睫毛が更に上を向く。嘘だろう、まさか。
ーーーいや、待て。だからなんだ。私に関係ない話じゃあ、ないか。
「…好きにすればいいじゃない、私は別に、あなた達がどうなろうと関係ないわ。」
「んやと…」
「いや、それはそうだろ。俺らの会社の専属ドライバーとはいえ、マフィアの専属ドライバーじゃねぇ。Aは誰にもつかない奴だしな。」
「…話が早くて助かるわ。」
少し寒い、パーカーの上から腕を摩る。
冷めた空気は私の身体を刺激する。それに相乗して場の空気にも張り詰めた空気も流れた。
「それで、何。…それだけのために私を呼んだの?馬鹿じゃないーーーー」
「君も、こちら側の陣営に入ってほしい。」
「…!?」
目を見開いた。と、共に度肝を抜かれた。
宣戦布告、当たり前のことだがこのふたつのマフィアはダークホースに喧嘩を売るという事。つまり、今まで中立派を貫いてきた私が、今ダークホースに雇われるとなると彼らとは自然的に敵対関係となる。しかし、彼らにとって私を雇う事は戦力になる。言ったもん勝ちってか。
「…いつ答えを?」
「今すぐだ。」
「…」
ーーー私の、ルールに反する。
その事を今決めろ、ってか。
確かに悪くは無い…ただ、今ここで私が彼らと手を組んだとして、私の願う真実は分かるのか?でも彼らと敵対関係になったとして、本当の真実が分からなかったらどうする?
嗚呼、エトセトラエトセトラ。もう脳内は正常に動かない。
「…10分。」
「おん?」
「10分だけ…時間をもらえない…?」
「…いいよな、10分ぐらい。」
「うん、そりゃあ突然だもんね。」
「…逃げないように見張ってるのはいいか?」
「それは勿論、逆に助かるわ。」
そう言って出ていく。少し離れたところがいい、そう言って何故か正常に動くエレベーターに乗り込む。一緒に乗り込んできたのはシャオロン。適当に5階のボタンを押す。
「…何が引っかかるん?」
「…全てよ、私は本当の事が知りたい。私の過去の事、それが全てを握っているような気がするの…。」
ちん、となるベル。降りてすぐ、建物の窓際に向かう。一面窓のそこからは少しだけ建物の光がチラついた。すきま風はいつだって心を冷やす。
ーーー私は、過去を変えられない。
そして、これからの未来も変えれない。全てはそう、彼らにかかっている。なら私は、私はどうするべきだ?
…そして突然の落下で、私は意識とともに奈落の底へ落ちていった。
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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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