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「エーミール教授!!お客様お連れしました!」
「ん…?あぁ滝下さん達、案内してくれたんですね。ありがとうございます。」
「いえいえ!今度の講義、楽しみにしてまーす!」
「えぇ、期待を裏切らないように準備しておきますね。じゃあ、こちらに。」
あぁ、これが教授の顔か。
私も負けじと再会を喜ぶ生徒っぽい顔をする。アリガトウゴザイマス、と返して手を振ると、彼等は元気に手を振り返してくれた。そして促されるまま、腰にそわされた彼の手のゆくまま、私は教授の部屋に入った。
「…まさか、赴いてくるとは。」
「それを読んでたくせによく言うわね。」
「まぁ、座ってください。ミルクティーとアフタヌーンティーセットを用意しますから。」
「…マカロンは」
「勿論。」
甘いものに釣られる私もどうかとは思う。しかし三大欲求には人間、耐えられないものだ。席につくと、彼は器用な手つきで紅茶の準備を進めた。
「…いやぁ、本当。随分大人らしくなりましたねぇ。」
「…セクハラじゃないのそれ。」
「あなたと出会ったのは確か…貴女が20の時でしたよね、あの組織に入ったのは17でしたっけ?」
「… 。」
何も答えない。いや、答えて墓穴を掘るのだけはご勘弁だ。ふわり、と目の前に置かれた優しい香り。それにミルクが広がる様子と言えばいつだって綺麗。それを自分の分入れると、彼は私の向かい側に座った。満面の笑みを浮かべる彼に、先程の学生達に見せていた笑顔はできなかった。
「…それで、えむ」
「こらこら、元組員かどうかも分からないのに話を進めるんじゃありません。」
「…んぐ…」
口に人差し指を押し付けられる。全て律儀にしろという訳か。溜息をつき、カバンから"例のもの"を出す。そして彼の前に突き出すと、彼も同じものを持っているため、同じものを重ね合うようにした。
「「Swear,for "MI5"」」
そう言うとにっこり彼が笑う。どうも彼はいけ好かない。何を考えているのかわからない。そうして私の手を取ると、指を絡めるように握ってきた。なんだか恥ずかしい。
「また会いましたね、A。」
「…私は会いたくなかった。」
「そんなにてれなくても。」
「照れてない、エーミールの顔を見るとイライラするだけよ。」
「あぁ…そういえば、私はあの中で唯一、貴女の正体をすべて知ってますからね。前職、経歴、過去、そして今の職を。」
その言葉が放たれた時、声を詰まらせた。
あぁ、今、私がどうなるか、この男の手に全てかかっている事を思い知らせるかのように、彼は手を握る力を強めた。
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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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