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「…キリザキとの出会いは嘘。エーミールとの出会いも嘘。」
「は?」
「エーミール、そうなん?」
「えぇ、彼女は…元MI5の工作員でしたよ。私が派遣された1年目が、彼女がMI5に所属した最後の年でした。」
「師匠は特殊部隊出身…。キリザキとはフランスにいた頃のライバル。彼が死んだ理由ーーーそれはダークホースの真実に近付いたから…キヨが渡してくれた手帳には、真実が書かれていました。」
「真実ぅ?何のだ?」
「ーーーダークホースの、情報です。」
今は私の部屋ですが、と一言付け加えて。目を伏せた。彼らのメンバーは完全には割れないが、人体実験は失敗している可能性もある。そして黒幕の事も。
「ーーーキリザキは、私に託しました。ダークホースの謎を、明かしてくれることを。これは、彼との約束です。それを果たすまでは、私は死ぬわけにはいかないのです。」
胸元にぶら下がったアイオライトのネックレス。私は彼とともに生きている。ちゃんとこの目で真実を確かめて、全てを終わらせなければ。
「…確かに、私はこの問題に関わるべき人間じゃない…最初はそう思ってました。
でも、私こそが関わるべき人間なのだと、この手帳で確信しました。この黒幕…7人の幹部…そして殺されるはずの私が彼らによって生かされているーーーそれは、私に何かを教えるために、奴らが手招いている…。こんなの、ただの偶然じゃ済まされない。」
「…貴方達が望むなら、この情報を提供します。全て、包み隠さず。でもそれは、私の過去にきっと繋がる…私はもう既に部外者じゃないことを理解して欲しい。」
彼らに差し出したUSBメモリ。それを、グルッペンは確かに受け取った。彼らが極秘の会議をした日に、アヤカが送ってくれたデーター。いずれ渡さなければならない日が来る。そう思ってコピーしていたのだ。
「…なら、お嬢。君もーーー」
「私は、私達で解決します。」
「えっ!?何言ってんの!?」
「貴方達は"ダークホースの真実"を追えばいい。私は、それよりも先に解決すべき問題がある。私達は…"私達の過去"から真実を追う。
貴方達の追う真実にも、私たちが追う真実にも、干渉しない。ーーーそれはこの情報を渡そうと決めた時から決めていた。
それが、Ms.トランスポーターとしてのルールその2、内容は聞かない。
ーーー幸運を祈ります、総長。行きましょう。」
彼女はトランクケースを思いっきり閉めると、車に乗りこんだ。そして総長を助手席に載せると、ゆっくりと走り出した。
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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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