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S.3:Ms.トランスポーター ページ21

S.3:Ms.トランスポーター


深夜の廃倉庫は、いつになく静けさを増していた。

ぼわん、ぼわんと、光っては消えを繰り返す船の光に、消える事を知らないネオン。至って何もかもが普通であった。


ーーー銃声音が聞こえるまでは。


劈くように空気を切る音。それに、一人の男がその微かな音を聞きとった。



「こっちだ!!!」



彼の声でその場にいた全員が振り返る、そのまま音のする方へ走り出した。案外遠くない所に、その原因は転がっていた。

そして、未だ煙をあげる拳銃を持つ、夜と同化する黒いローブ。その足元に転がる一人の男。駆け付けた複数の男達を見つけると盛大な舌打ちをして、消えてしまった。



「ぅ、うぅ…」

「大丈夫か!!って、あんた運び屋じゃねぇか…」



その男に見覚えがあった。
俺達がよく使っていた運び屋の男。俺達が探しているアウディの正体を掴んでいる時も世話になった男。息絶えたえになりながら、腹から流れる血を抑えながら儚く嘲笑った。



「はっ…ここまでか…」

「そんなこと言うな!!キリザキ!!しっかりこっちを見ろ!!」

「うるせぇなぁ…キヨか?こーすけと、ヒラと、コネシマとシャオロンに…鬱か…あぁやっぱり。噂通り組んでんだなぁ…」

「静かにしろ!今助けてやるから!!」






「それは俺が居なくなったら、依頼する奴がいねぇから困る、って理由か?」


治療をする手が、一瞬止まった。一同驚いてキリザキの目を見る。光が消え、濁り、ドロドロになった瞳はもう生を諦めているかのようだった。


「んなわけねぇだろ!黙ってろ…」

「もういいだろ…俺より優秀な運び屋に…頼めばいい…話だろうが…」

「何でそんな事言うんだよ!!?お前、仕事をくれってしょっちゅう言ってたじゃねぇか!!」

「…お前ら、まだ知らねぇのか…あんな近くに居ておいてよォ…」

「なんの、話だ?」




「あぁ…だから俺に"ダークホース"の事を…聞いてきたのか…やつらは…相当…アイツを…」


ダークホース、その単語に過剰に反応してしまう。がくり、と力が抜けたキリザキの声が掠れていく。


「…俺は…こうなる、運命だった…それを…わかってでも…奴に伝えたかった…俺が惚れた女だ…。」

「女、そいつが知ってるのか?!」

「あぁ…そうだ…お前らの会社の…ドライバーに、これを、渡して、くれねぇか…?」





「仕事を頼むなら…Ms.トランスポーターにな…」

そういって胸ポケットの手帳をキヨに渡すと、彼は2度と目覚める事は無かった。

闇の中で、恍惚の笑みを浮かべながら。

*→←S.00:愛に対する独白



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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらたま。 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2017年10月28日 23時

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