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「悪い、遅くなった。」
無事にパーティーが終わり、会社に帰ってくるや否や、愛車に乗り込んだ私。着替えるのが面倒で突撃したのはMJの修理工房。そこに居る住人とひとりの女。
「やっほ!A!」
「悪い、呼び出した本人が遅くなって…」
「まぁ仕方ねぇよ、ニホン人だし。」
「意味が分かんねぇ…まぁ取り敢えず座れよ。」
そう言って促されたテーブルの前は既にワインやらが空いており、宅配ピザの残骸も残されていた。いや、どれだけ食べたんだろうか。
「…大体の話は聞いたけど…今日の収穫はどうだった?」
「やっぱり日本外を中心に活動している同業者の方が色々知っていたわ。」
「私も色々聞いたよ。共通ネットワークのダークホースにアクセスできない理由が分かったんだよ。」
「まずアヤカから聞くか。Aの話は情報が多すぎる。」
「うん、私達の間のネットワークは本当に同業者しか入れないようになってる。そのネットワークには殆どの情報が載せられているんだ。もちろんAのも、MとJもね。」
「はぁ…ちゃんと知ったわそんなん。」
「…そこに、ダークホースだけが無い。それは、"載せた人が裏で殺されてる"から。」
「マジかよ…」
ワインをグラスに注ぎ、一口。チャイナドレスの裾を直して足を組んだ。堅苦しいアクセサリーを外した。
「…"失われた奇数組"…あの子達は生きてる。」
「それは本当か!!」
「本当よそれは。」
「Aも知ってたの?」
「今日聞いた。人体実験の実験体にされた可能性が高い。だからどうなってるかは分からないって。」
「…これは、俺達に向けてとしか考えられない。俺達は、どうすればいいんだ…」
唯一の頭脳派、Jが頭を抱えて、ウィスキーを一息で飲んだ。その言葉と共に、全員の顔が暗くなった。
孤児院生まれの私達に、もう頼る人は誰もいない。神父様が亡くなった、16歳の時から、己しか信じられずに、"偶数組"だけを頼りに生きてきた。
「…"4628"、私達の番号…。リーダーシップを発揮したリーダーのJ、 前に立って守ってくれるM、情報通の私、そして、冷静に周りを見渡して状況分析をするA…それぞれの番号を繋いだのに、どうして奴らは…。」
「…私が、聞かなきゃ…。」
「おい、A!?」
なんで生かさなかった。
私が唯一、この世界で、今裏社会が情報を欲しがっているこの時に、ダークホースに関わっている人間なのに。
「私が…唯一関わってる人間なのにーー!!!」
拭いたくても拭いきれない罪悪感に押し潰されて、チャイナドレスにシミが広がっていった。
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しらたま。(プロフ) - 信者さん» 貧血には注意してくださいね、ありがとうございます! (2017年10月31日 21時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
信者 - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました!教授のあまりのかっこよさに血吐きました。これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月29日 20時) (レス) id: d26dcbfb3b (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ありがとうございます! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 626c66f5a9 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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