Fiona Ⅲ ─ イナズマイレブンGO (ページ44)

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ミーティングルームへ戻ってきたAは、その場に崩れるようにして座り込む。

疲労の果て、体の芯までがずっしりと重い。

先程までは何とかピッチに立ててはいたが、必殺技による体力の消耗が激しかったようだ。

[Weiße Wellen(ヴァイスヴェレン)]

それはボールを蹴ればシュート技に、ボールを保持していればドリブル技に、ボールを持っていなければブロック技に変貌を遂げる、非常に万能な必殺技。

使い勝手が良く威力も強烈が故に、身体に負荷がかかってしまうもの。

一試合のうち発動出来る回数には、限度があり、連続での使用は極めて難しい。

『(三回使えた。これが今の限界か)』

「A。お疲れさん」

『大和、お疲れ』

「ショート寸前なんだろ？
しばらく休め。ほら、向こうまで移動すんぞ」

ダウンの最中に抜け出してきた大和が、タオルとドリンクを持ってAの元へとやって来た。

そのまま肩を抱き起こすと、ゆっくりと長椅子のある部屋の角まで付き添う。

寝かせたAの首元にアイシングを当てがうと、彼女の表情がほんの少しだけ和らいだ気がした。

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クラブハウスの仲間達はゴッドエデンでの遠征を終え、今日、島を離れて帰ってしまう。

皆が乗るフェリーをAは船着場から見送った。

手を振り続ける彼女の横に、シュウが現れる。

「Aのチームメイト、行っちゃったね」

『うん……でも、これでいい。
皆いなくなるのって少し寂しいけど、気持ちは一緒だから。どこに居ても思いは繋がってる』

出港の際に「本当に一緒に帰らなくていいのか」と、特に同学年の合川らから何度も言い寄られていたA。

『まだやる事がある』と惜しみながらも彼らに別れを告げたのだ。

シュウはAの切なげな瞳を覗いて、胸の内が激しくざわめくのを感じた。

「明日からまた、一緒にサッカーしよう」

『遠征のあいだずっと待たせてごめんね、シュウ』

「大丈夫だよ。
Aはこの島から居なくならないって、僕は思ってたから」

『そうなの？
ふふっ。じゃあ、明日いつもの場所で』

暖かい海風によって、二人の前髪は小さく揺れる。

お揃いの髪飾りが、夕陽に輝いていた。

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