Fiona Ⅲ ─ イナズマイレブンGO (ページ31)

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Aはボールを一つ抱えて、白竜の後ろに並び自身の順番を待つ。

訓練生らはAの眺める間もたゆみなくシュートを撃ち続けた。

一歩手前で白竜の必殺技が放たれるが、ボールはまたしても機械によって阻まれる。
そして、滲み出る汗を拭って悔しそうにする彼の足元へと戻って来た。

Aの番が回ってくる。

訓練生達よりもゴールとの距離を遠くとって、ボールを手放す。

ピタリとそれが静止すると、軽い助走を付けて左足を踏み込んだ。

『技というのはこうやって決めるっ、

[Weiße Wellen(ヴァイスヴェレン)!]』

右脚を捻り出すような動作は、一気に海面を荒立てる。
ゴール前に佇むロボットに向かって、白く泡立った大波が轟音とともに強襲した。

自立型の機械はAの蹴ったボールを瞬時に察知し、一直線に飛んでくる方向へと胴体を滑らせる。

訓練室に衝突音が響き渡った ──
それは、瞬きをする間も無く爆発的だった。

「……すげぇ。マジかよ」

ロボットによって弾き出されたかと思われたボールは、ギリギリ機体をかすってゴールネットの隅に突き刺さり、転がり落ちる。

後ろに並んでいた湾田は、これまで一度も見せたことのない顔でシュートを叩き込んだAを仰ぎ見ると、体がしびれるほど熱くなるのを感じていた。

彼だけではない。
選抜チームの連中は度肝を抜かれて、その場に立ち尽くした。

「機械の反応よりも速いシュートを、あの距離から……？」

「速いなんてもんじゃねー。
機械に弾かれずゴールを貫く尋常じゃないパワー……
これが０番の実力なのか」

白竜の言葉に浪川が続けた。

Aにとっては造作もない一発だったが、見た通り訓練生たちとの力の差は歴然だった。

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