Fiona Ⅲ ─ イナズマイレブンGO (ページ12)

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「お前、何者なんだ？」

『……』

「化身の出し方を、皆知りたがってるんだ。
食堂では見るけど中々話しかけられなくて……その、良かったら何か教えて貰えないかなと」

彼らに思ったほど悪意がないのは分かったが、ここは応えるべきか。

出来れば名前は名乗りたくないし、異質な存在であろうにも関わらず、これ以上目立ってしまうのも避けたかった。

「フィフスセクターのシードなのか？」

『シード？』

「お、俺たち。
フィフスセクターのシード候補なんだ。
化身を出せるようになればきっとシードにもなれる！
コツだけでも良いから、何か聞けないかな？」

突然出てきたフィフスセクターの名に、Aは首を傾げた。

シードなるものも初耳だったため、必死な様子の彼らの質問を軽くあしらう。

『私はフィフスセクターの者ではないし、それにシードなんか知らない』

目を見開いて抜けた顔をする訓練生二人と自分との間に、微妙な空気が流れるのを感じた。

そして、彼らの片方が何かを言いかけた時。

「ここはフィフスの「[そこで何をしている！ 5XX番、5XY番！]」

牙山の声が三人に降り掛かり、時間が止まる。

Aは、牙山が管制室からこの状況を眺めているのだろうと、咄嗟に理解した。

「[聞こえているならば直ちに訓練室Bに戻れ！]」

慌ててスタジアムを出ていく訓練生の背中を、無言で見送った。

思わぬ助け舟が出て、Aはホッと肩をなでおろした。

集中力を働かせて特訓を再開させる。

必殺技シュートの次は、化身を発動させたまま技を出す訓練だ。

頭の隅にフィフスセクターの文字が引っかかっていたが、ボールを蹴る頃には綺麗に消え去っていた。

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