青学に来たのは神の子の弟

不完全なオールラウンダー ページ35

不二side

ストレートに打たれるとAは弱い
オールラウンダーだとは見てわかるけど、まだまだ未熟なオールラウンダーだね

タッチセンスは天才だとわかる
幸村精市の弟だからとか、そうじゃない
AにはAの良さがある


バック、フォア...ストローク、ボレー
Aはラケット巧みに使い、うまく二人を走らせている

黄金ペアである大石と英二をここまで苦戦させると、僕でも舌を巻く

まぁでも、やっぱりミスはあるね
だからこそ僕がカバーに入って、来るべきチャンスを引き出している
...なんて、偉そうだったかな？



『あの..』

「うん？」

チェンジコートの時にAは遠慮がちに
声をかけてきた

『....やっぱ、俺..でしゃばってませんか』

「は？」

『あ、いや...すみません』

思わず言っちゃったけど別に怒ってない
Aはビクついてコートに入った


うん、やらかしたかな？

サーブポジションから見えるAの背中
レギュラージャージを腰に結びつけるのが
Aの試合スタイル...兄も兄なら弟もだね


「...」

ふと、こんなに小さかっただろうかと思った
たしかに身長は越前より低くて、小柄だけど
コートに入ったAの背中は大きく見えてた

現に、ついさっきだって...





でも、今はとても小さい









《俺...でしゃばってませんか》


さっきの事が関係あるのかな？









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結局、試合には負けた
接戦だったんだけど、Aが最後に打ち損じてそのまま取られた

『...すみません、じゃあ』

顔をあげずに俯いたままコートを出ようとするAを慌てて引き止める

『！』

「午後、空いてる？」

掴んだ手を離さずに聞く
Aはゆっくり頷いた

「じゃあ...ラケット取り替えに行こう」

『いえ、俺1人でも大丈夫っす』

うん、そう来たか

「なら、デートしようよ。A」









桃「｀;:ﾞ;｀;･(ﾟεﾟ )ﾌﾞｯ!!」






近くにいた桃がドリンクを吹き出してたけど無視

「いい？」

『...ん』

「着替えたら校門で待ってて」

『っす』


今日の練習は午前だけだけど、三年はこれからミーティングがある


Aは返事をすると、僕の腕を振り払って
片付けをサボってた越前と部室に戻った





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