* ページ8
『A、ちょっといいか?』
「はいっ!」
無事帝国劇場に着いて準備を始めた私の元を訪ねてきたのは光一くんで。緊張しまくる私をみて、なぜか楽しそうに笑っていた。
『緊張してるな』
「当たり前じゃないですか...」
『舞台初めてなんだっけ?』
そう、憧れのSHOCKに出るのはもちろんそもそも私は舞台経験が全くなくて。初舞台がこんなに大きな役だなんて想像もしていなかった。
『楽しんでくれればいいから、な?』
「余計プレッシャーです...」
『おいA!ってコウイチもいたの?』
「上田くん!?」
光一くんだけにとどまらず上田くんまで楽屋に現れてパニック状態の私を見て楽しそうに笑う2人。その姿を見て、ほんの少しだけ緊張もほどけた気がした。
『で、竜也はどうしたわけ?』
『そうそう、途中経過を撮りに来たんだよ』
『途中経過?』
首をかしげる光一くんに楽しそうに説明する上田くん。
あまりにも緊張する私を面白がった上田くんが、政策発表の日に突如始めた企画があった。
『こいつあまりにも俺といると緊張するから最終日まででどこまで変わるか検証してんだよ、な?』
「楽しそうにしてるの上田くんだけですよ...」
ほら、カメラ持て!と言われ受け取った上田くんのスマホでカメラを起動するも、2ヶ月前と変わらず震える手に爆笑する2人。先輩に囲まれて何をやってるんだろうと思っていれば、仕方ねえな〜とスマホを奪われてしまった。
『...っし、撮れた?』
「撮れ、ました...」
近い、本当に近すぎる。無意識なのか、わざとなのか、いやわざとであってくれと思いながら待っていれば楽屋の外が騒がしくなって。聞こえてきたのは奏の声だった。
『あ、お取り込み中でした...?』
『お前邪魔すんなよ、いいとこだったのに!』
な?と意地悪そうに聞いてくる上田くんに確信犯だと分かり一気に顔が赤くなる。
「...準備するのでみんな出てください!!!!」
そう叫んだ私の声は、他の階にいたカンパニーのみんなに響き渡った。
205人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:nio | 作成日時:2024年3月5日 22時