紅一点は事務所1の騎士様！？(6) (ページ18)

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「嘘...」

ニュースで流れてきたのは、今一番聞きたくなかった言葉で。
"緊急事態宣言"、即ち舞台の中止が決まったのと同然だった。

『...A、大丈夫？』
「あ、ごめん...ぼーっとしてた、」

あれからすぐに緊急事態宣言中の舞台の中止が発表されて。
せっかく当たったのに会えないファンのみんなの気持ちを考えると、気持ちの切り替えがうまくできなかった。

『...俺たちは、できる限りのことをやろう、な？』
「うん...」

キリ、と痛む胸とお腹を誤魔化して、休演前最後の舞台へと向かった。

『...やっと目覚ました、』
「れ、ん...？」
『お前、舞台終わった瞬間倒れたんだよ』

目を醒ますと蓮とラウールの楽屋にいて。はい、と渡された水を飲もうとしてもペットボトルを開けられず助けてもらう始末だった。そんな私をみて、蓮が小さくため息をついた。

『体調、いつから悪かったの？』
「舞台の中止が決まったぐらいから...なんか、自分がやるせなくて、...」

流すつもりのない涙がぼろぼろとこぼれ、堪えようとする喉から嗚咽が漏れる。そんな私の背中を、蓮はずっと撫でてくれた。

『Aちゃん、いまいい？』
「あ、もう撮影？いま行く！」

滝沢歌舞伎の中止期間が発表され、同時に生配信を行うことを決めた私たち。幕間の最中に流すVTRの撮影をIMPACTorsの新にお願いし、今日はその撮影をする日だった。

「いま誰撮り終わったの？」
『黒影組と金さん銀さんは撮りました！』
「どんな感じ？観たい！」

カメラの小さな画面に映るメンバーに笑っていれば、新の顔が赤くなる。不思議に思って見ていれば、近い！と怒られてしまった。

「新本当に私に慣れてくれないよね、同い年だし仲良くしたいのに」
『俺は奏みたいには出来ないから...』

同い年なのに後輩だから、と未だに距離感が微妙な新に正直不満...何て言ったら怒られるかもしれないけど、同い年と仕事なんてそんなにすることがないからこれを機に仲良くしたいんだけどな。

「...呼び捨て目標かな、まずは」

そう呟いた私に、新は不思議そうに首をかしげていた。