紅一点は事務所1の騎士様！？(6) (ページ17)

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-R.side- ページ17

『蓮、ちょっといい？』
「ん？どした？」
『...帰りながら話したいんだけど、』

歌舞伎のリハーサルも大詰めになり、今日は舞台終わりのAたちも合流しての稽古だった。話しかける間もなく進んでいく稽古に必死なAの姿をみていたらあっという間に稽古は終わりを迎えていた。

「おつかれ、」
『ありがと、』

もうすぐ咲きそうな桜を見ながら歩いていれば、この間のことなんだけどと呼び止められる。

『...正直、めっちゃ困った。
私恋愛とかしたことないから、好きの先は付き合うもんだと思ってたし』
「...だよな、」

好き、だけど困らせたくないからそれ以上は言わない。完全な自分のエゴだと言うこともわかってた。それがAを困らせることも。

『でもね、おかげで自分の考えがまとまったっていうか。
蓮のおかげで自分がどうするのが正解なのかって考えられたんだよね』

そう言ったAと目が合い、一歩だけ近づく距離。

『私は、みんなが大好き。
その気持ちが変わることはないし、でもその気持ちが蓮の言ってる気持ちと違うのもわかってる』
「...うん、」
『私は、恋愛しない。
メンバーだからとかじゃなくて、誰とも』

そう言い切ったAの声は強くて、なのに目は真っ赤で。
名前を呼べば、なぜか悲しそうに笑っていた。

『Aちゃん、30分前だよー』
『ふぁ...まいちゃん起こしてくれてありがと...』

あの日から3週間。俺とラウールの楽屋で眠るAに布団を買ったらなぜかげらげら笑われたけど。気持ち良さそうに眠る姿に、心が暖かくなった。

『Aちゃんって本当に可愛いよね』
「...そうか？」
『え、目腐ってんじゃない？』

ギブギブ！と叫ぶラウールにヘッドロックをかけていれば、なぜかいなくなったはずのAが戻ってきて。

『まいちゃんに何してんのー！？』

そう言って俺に雷を落とすAに、また一つ愛おしさが増した。