41. 2021.04.×× ページ15
「...楽屋割り、」
『そう、着替えとかもあるから1人部屋を作ることもできるけどどうする？』
無事にEndless SHOCKを走り抜け、息をつく暇もないまま気付けば明日から新橋演舞場に足を踏み入れようとしていた。
「着替えのこと考えると小さくていいから一人部屋にしてもらえると助かるかな、半日の日とか私いないこと多いだろうし」
『そっか、了解伝えとくわ』
わざわざ確認してくれるふっかの優しさに感謝しながら手元の台本に目を落とせば肩を叩かれる。顔を上げればさっきまで話していたふっかだった。
『無理すんな、って言っても無駄だろうから我慢だけはすんなよ？』
「何それ、」
思わず笑ってしまえばお前な〜と言われてしまい慌てて謝る。
「ごめんって、そんな風に言われると思ってなかったから」
『心配してんの！まったくうちの子は！』
ご飯ちゃんと食べてんの！？とママモードに突入するふっかにまた笑えば近くにいた阿部ちゃんに邪魔しないの！と怒られるふっかに更に爆笑して。久しぶりに感じたメンバーの温かさに笑みが止まらなかった。
「...よし、こんなもんかな」
SHOCKの楽屋に置いていたものをそのまま運んだだけ、な私の楽屋はこじんまりとしていて。近くの部屋からはさっくんの楽しそうな声やまいちゃんの笑い声が聞こえてくる。
『A、終わった？』
楽屋の外から聞こえた声に返事をすれば、入ってきたのは紙袋を持った翔太くんだった。
『はい、これ頼まれてたやつ』
「ありがとう！助かる！」
渡されたのは洗顔含めた基礎化粧品のセットで。SHOCKが始まる前にもらったものと同じものだった。
『体調とかでもし合わなくなったらすぐ言えよ』
「うん、ありがとう」
いまは大丈夫そうだな、と頬を触る翔太くんの顔はプロみたい。なんて適当なことを思っていればなぜかその手は離れなくて。不思議に思っていれば、先に話し始めたのは翔太くんだった。
『寂しくなったらいつでも来いよ』
「...みんな私のこと子どもか何かと勘違いしてる？」
ふっかといい翔太くんといい、人を寂しがりやのように扱ってくることに少々抵抗があるというかなんというか。なんて思っていれば目の前の翔太くんが小さくため息をついて楽屋を後にした。
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作者名：nio | 作成日時：2024年3月5日 22時
